対戦相手への敬意と、自身の矜持で── 萩原聖人はその牌を掴み取った【須田良規のMリーグ2022-23セレクト・3月7日】

3月7日(火)第2試合南2局1本場
渋谷ABEMAS松本吉弘は思いあぐねていた。

残りツモは1回で自身で【6ソウ】も切っているため、テンパイを取ってもアガリはほぼない手牌だ。

だがこのときトップ目のEX風林火山松ヶ瀬隆弥以外は17600点~16300点と非常に競っており、
テンパイ料が軽視できない状況だった。

対面の東家、TEAM雷電萩原聖人が2フーロしてテンパイ。
萩原に対して【6マン】を通せるのか。松本の懸念はそれ一点である。

そして大長考の末、松本は【6マン】を切った。

倒される、萩原の手牌。
5800と決して安くはない放銃である。

このとき松本の打ち込みを批難するコメントも散見された。

だがこの【6マン】【9マン】待ち──、これをアガるために、萩原がどれだけ苦心していたかを汲んだ視聴者は少なかったと思う。

実際私も当初は萩原の手順の意図をはかりかねていた。

萩原の辿った軌道はこうだ。

萩原はまずこのカン【6ソウ】チー。
この仕掛け、出ていくのは【3ソウ】しかないのではないだろうか。

ところが萩原が切ったのは【8マン】

これは、【8マン】【西】がコーツになってのテンパイを逃す格好になる。
オタ風の【西】ポンはかなり【東】待ちが限定されやすいので避けたいが、自力で引くことだってある。
何よりも【8マン】のポンテンが取れないのは、惜しくはないだろうか。

しかしそれらの裏目を見切って、萩原は【8マン】の先打ちをした。

【7マン】もツモ切り。

そして待望の【東】が出てポン、打【3ソウ】である。
おそらく多くの人はここで出ていくのが【8マン】になって、同じ【6マン】【9マン】待ちであろう。

だがここからの萩原の打牌で、【8マン】先打ちの真意が氷解していく。

次巡のツモがドラの【8ピン】
実際安全度を考えれば、ここは【赤5ピン】と入れ替えた方がいい。

【5ピン】は場に3枚目、【2ピン】【5ピン】でテンパイしている者もいない。
【8ピン】生牌で、ポンされて困るのは当然だ。

しかし萩原はツモ切り。打点は変わらないが、敢えて勝負のツモ切りを選択している。

【4ピン】も、【7ピン】と入れ替えることなどはせずツモ切り。

ではもう一度、松本の視点で萩原の河を見てみよう。

この捨て牌。
萩原の手牌は【6マン】【9マン】待ちというよりは──、ソーズのホンイツの方が強く匂わないだろうか?

もしも9巡目のカン【6ソウ】チー出しの【8マン】が、【3ソウ】であり、
12巡目の【東】ポン出しの【3ソウ】が、【8マン】であり、
13巡目のドラ【8ピン】【赤5ピン】とのスライドであったなら──、
河の印象は全く違う。
マンズ待ちもかなり読み筋に入ったはずだ。

これが【6マン】【9マン】待ちなら、最初に打【8マン】をして【7マン】【8マン】に固定していることが、効率的に妙だ。
(松本目線でも 【3ソウ】 + メンツ + 【東】【東】 + 【西】【西】 + 【7マン】【8マン】【8マン】になる)
加えて松本は【5マン】が3枚見えで【3マン】【6マン】もワンチャンス、
【8マン】も萩原がリャンメン固定した後に3枚見えと、【6マン】を切りたくなる状況は揃い過ぎている。
放銃はしたが、あって【3マン】【6マン】。まさか【6マン】【9マン】とも思わなかったのではないだろうか。

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