「勝って、妻のもとへ帰るんだ…!」荒れ狂うオーラスを渋川難波は凌ぎきれるか!?【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4/13】担当記者:ゆうせー

これはまず、一人テンパイでの3着浮上を狙った仕掛けだろう。対面にいる瀬戸熊の河は薄いので、ノーテンに期待が出来る状況だ。

また、ここでアクションを起こしておけば、ライバルの瀬戸熊が「テンパイを取らないと」と押してくることも予想出来る。
多井が234三色に手替われば、1000は1300の直撃で同点の3着となる。松ヶ瀬のダマテン5200に放銃するのを誘発出来る、という面もわずかながらあるだろう。

いずれにせよ一局しかないので、多井はテンパイへ向かって手を進めるべき状況なのだ

多井の手が高くないと判断が出来れば、上家の渋川が甘い牌を鳴かせてくれると予想出来るのも、このケイテン含みでの仕掛けを後押しする。

いよいよ捨て牌は三段目に突入。

ここで、

「リーチ」

松ヶ瀬がやってきた! 一盃口を完成させてのリーチ。待ちの【3マン】は2枚切れになっていたが、だからこそ出アガリへの期待が持てるとも言える。

松ヶ瀬の待ちは山に1枚。

渋川は、

切り番で時間を使い、

【1マン】とした。

松ヶ瀬の現物かつ多井に通っていない、【8ピン】を打たなかった格好だ。

松ヶ瀬からのリーチ棒が出たため、多井は2000は2300点の出アガリで3着に浮上する。

ということは、ここで多井の手を進ませてしまうと、多井は全勝負の構えとなる可能性が高い。多井がアガれば万々歳だが、多井が松ヶ瀬に放銃するケースも増えることになる。渋川にとってそれはまずい。

よって渋川は、甲羅を被ったように残りの巡目をガチガチに守り抜き、「耐えてのトップ」を持ち帰る道を選んだ。

山が減っていき、松ヶ瀬のツモはハイテイでの残り1牌を残すのみとなった。

なんとここで、

瀬戸熊にテンパイが入った! ドラを切れば、ピンフ一盃口ドラドラ。

待ちの【1ピン】【4ピン】は松ヶ瀬の現物。どこから出ても瀬戸熊は2着になれる。渋川からアガればトップだ。

ドラの【9ソウ】は単騎で当たる可能性があるが…

切った!

そして、瀬戸熊はダマに構えた。

渋川を直撃出来ればトップ。

さらには仕掛けが入って自分にハイテイが回ってきたときにオリる道を残す、というのが目的だ。松ヶ瀬テンパイ、渋川ノーテンなら、瀬戸熊がテンパイしているかどうかに関わらず、多井と瀬戸熊は入れ替わることがない。

しかし、

ここでの選択を瀬戸熊は悔いていた。

そう、「ツモ番なしリーチをする」という道もあったのだ。

トップ目の渋川にとって、瀬戸熊にハイテイが回るのはまずい。なぜなら、瀬戸熊のハイテイでのハネマンツモだけでなく、松ヶ瀬のホウテイロンでも渋川はまくられてしまう可能性が高いからだ。

したがって、瀬戸熊がリーチをしても渋川は「多井に鳴かれない牌を切る」ことが予想される。多井が鳴かなければ、瀬戸熊にハイテイが回ってくることはない。つまり、瀬戸熊は放銃に関して過度の心配をしなくてもよいのである。

ここでもし、

ツモ番なしリーチをかけて、松ヶ瀬からハイテイ【1ピン】【4ピン】が出た場合は、

リーチ一発ハイテイピンフ一盃口ドラドラ

で7ハン。裏が1枚乗れば、瀬戸熊はトップまで駆け上がる。十分現実的な条件だ。

実際、ハイテイに眠っていたのは、

【1ピン】だった。

ハイテイピンフ一盃口ドラドラ、8000は8300のアガリで瀬戸熊が2着に浮上して、この半荘は終了となった。

裏ドラが何だったかは分からない。

瀬戸熊が1着まで突き抜けていたかどうかは、あくまでも「可能性」の話に留まった。

そして、トップとなったのは、

すっかりピンク色が似合うようになった、この男であった。

 

~ インタビュー ~

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