【BEAST Japanextドラフト会議指名オーディション セミファイナル】不運すらも力に変えて 浅井堂岐、窮地で強さを示した雀王

BEAST Japanextドラフト会議指名オーディション選考会。
セミファイナルに進出したのは、予選卓で2位・3位だった内田みこ浅井堂岐宮内こずえ・山井弘の4名。辛くも生き残ったにせよ、チャンスを取り逃したにせよ、条件は再び横並びであり、勝ち上がれるのは2人だけだ。
純白の卓で行われる、明暗分かれる勝負の行方は。

■1回戦

東2局1本場。内田は1シャンテンから【6ピン】を引いて1枚切れている【1ピン】のトイツを落とす。単純な受け入れ枚数だけなら【1ピン】【9ピン】受け3枚分を減らすことになるが、678三色になれば打点の見返りが大きい。

【8ソウ】引きは三色が確定するうれしいテンパイ、もちろんリーチだ。

ここに、ドラ赤赤と打点のある手になっていた浅井が仕掛けで応戦するも、【7ピン】【7ピン】【8ピン】から【6ピン】をチーすれば【7ピン】が出て行ってしまう。内田は9巡目の【赤5ピン】をノータイムでツモ切っており、【4ピン】【7ピン】待ちはかなりなさそうに見えていたか。

裏ドラが1枚乗って満貫の加点。内田がまずは一歩抜け出す。

その後、内田は打点こそ大きくないものの要所でアガリを重ねるとともに供託をさらいやや抜けたトップ目に立っていた。ここをクリアすれば初戦のトップは目前というところで、親番の浅井からリーチが入る。自身も直後に役なしの【5ピン】【4ソウ】のシャンポン待ちでテンパイし、次巡に【6ピン】を引いた。【5ピン】を切れば役ありテンパイに構えられるが、【5ピン】はドラであり、浅井に放銃となればトップもかなり怪しくなる。もちろん、受ける選択はあっただろう。

内田の選択は打【5ピン】、しかも牌は横に曲がっていた。役ありダマテンでひょっこりの出アガリや後の守備を考えるのではなく、テンパイを取るならここで決めにいくという強気の選択。そう、麻雀は守ってばかりでは勝てない。勝つためには、望むものを手にするためには、どこかで踏み込まなくてはならない。この局は宮内から浅井への放銃に終わったが、トップ目からでも攻める、内田のこの戦いに臨む姿勢が明らかになった一局だった。

1回戦は内田がそのまま逃げ切ってトップを獲得。4戦勝負で上位2人が勝ち抜けというレギュレーションを考えれば、このトップの意味は非常に大きい。

■2回戦

それは、事件だった。南1局の親番で、内田がピンフの3メンチャン、高目三色のダブルリーチ。人生を変える選考会の親番でここまでの手が入るのは、強運と言うほかない。

これに対し、浅井の手は数牌のみで当然ながら現物もない。当たるパターンが最も少ない【1マン】のトイツ落としを選ぶのは、もはや必然だった。

一発と裏がついて18000。このアガリで、内田の勝ち上がりはかなり濃厚になったと言えるだろう。

浅井は、一度は伏せた手牌を再び開け、何事かを少し考えて、牌を落とした。

麻雀プロ人生を懸けたこの舞台でこの仕打ちを受けたとなれば、自身の不運を呪い、精神的にぐらつく打ち手も少なくないだろう。しかし浅井は、この放銃で「開き直れた」という。2回戦は宮内がトップ、浅井はラスで終わったが、ここですぐに切り替えられたことが、もしかしたら後半戦の結果につながったのかもしれない。

■3回戦

東1局、口火を切ったのはトータルトップ目の内田。ピンフ赤赤をダマテンに構えると、高目の【4ソウ】をテンパイのトータル2位の宮内から捉えて12000。内田としては打点はもちろん、出どころもベストだ。

内田がさらに加点して迎えた東1局3本場、ここは浅井がピンフイーペーコードラの手をリーチし、高打点を狙う。浅井としては、内田をまくってトップになり、宮内・山井を3着4着に押し込めることで、突破の可能性が開けてくる。現状の並びは、浅井としても悪くはない。

宮内は、リーチに強い牌を押しながら、現物【9ソウ】をとらえられるピンフ赤赤のテンパイが入っていた。ゆえにツモ切られた【4ピン】

リーチタンヤオピンフイーペーコードラ、裏ドラ2枚で12000は12900。浅井にとっては会心の、宮内にとっては痛恨の結果となった。

さらなる分岐点は東3局。山井がピンフイーペーコードラ、高目はタンヤオと三色がついて高目ツモなら倍満からという超勝負手のリーチをかける。

1シャンテンになっていた浅井だったが、ドラまたぎの【1ピン】をつかんで現物【5マン】切り、1シャンテンからの受け入れは狭くなるが、反撃ルートは残す。

切りきれなかった【1ピン】に引力があったのか、その後浅井は【2ピン】【3ピン】と引き入れてドラメンツが完成。

その瞬間、浅井は【2ソウ】を人差し指でパチンと手前に倒し、そのままリーチを宣言した。【2ソウ】は全くの無スジ、自身の手は中張牌のシャンポン待ちで決して良いとは言えない。だが、その動きに一切の迷いはなかった。

軍配は浅井に上がった。リーチツモ三暗刻ドラの4000オール。

自身のスタイルを「優雅に押し返す」と語る浅井。先制リーチに対しても反撃の糸口を探り、しっかりと見合う打点を作ってぶつけるという、浅井らしさの出たアガリを決めた。

浅井はオーラスを内田と1000点の2着目で迎えるも、タンヤオ赤を自力でツモって逆転トップ。

内田以外の3者がほぼ並びの状況で、最終戦を迎えることとなった。

■4回戦

心理面はさておき、着順勝負はやはり先行したほうが有利だ。追う側には条件が課せられる上、それをクリアできる手が入る保証はないからだ。その意味で、浅井が東1局の親番で、ドラの【發】をポンしての満貫をツモれた価値は大きい。

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