「こんなん鳴いてちゃあ自分の麻雀ちゃいますがな」
そう言わんばかりに5200点のテンパイを悠々とスルー。
現代麻雀においてはポンテンを取るのが主流だと思うが、
それはあくまで主流なだけ。
プロ歴25年の経験則や自身の麻雀スタイルへのこだわり。
それを貫くメンゼン重視型の横山の鉄スルー。
受け入れMAXに構えた原から2枚目のが出る。
これはさすがにポンテンを取る横山。
1鳴きと2鳴きではだいぶ印象が違う。
打点か待ちに不満がある為にスルーしたオタ風のに見える。
まだイーシャンテンのケースも多い。
すぐにイーシャンテンをキープした原からが出て横山オリジナルのアガリが飛び出した。
1枚目のを小寺から鳴いていても結果は一緒だったかもしれないが、焦らずどっしりと自分の麻雀スタイルを貫いた横山の美学を感じた1局であった。
横山の麻雀のバランス感はとても面白い。
局は少し戻って東4局
横山は愚形残りのイーシャンテンからドラのを切った。
メンゼン重視型の雀士なら打点を見てドラのを残しそうであるが、
下3人が競っている局面、横山は打点よりもここはアガリ易い形を求めにいったのだ。
程なくして原からの先制リーチを受けた横山の対応を見て欲しい。
アガる為には生かしておきたいマンズの3メンチャンの部分を崩してイーシャンテンをキープした。
もしこの瞬間ドラのが手牌で浮いていたらオリを選択していたと予想出来る。
親の小寺からの追いかけリーチも入り、
同巡で横山も追いつき、ソーズの場況の良さも後押ししてでの追いかける。
結果は見事に横山が最後尾から原と小寺に追いつき追い越せのアガリとなった。
500/1000ながら競っている原と小寺の加点を自らのアガリで阻止できた事はとても大きい。
25年のプロ歴の中で、このような条件戦の場数は他3人よりも群を抜いて多い横山。
2着に残る為の最初の勝負所と見て果敢に挑んだリーチ合戦を見事に制した。
南3局では5巡目のズルい早すぎるホンイツチートイツを原からアガってここで決着をつける。
2位通過の横山。
道中激しい2着争いの接戦を制して決勝卓へ駒を進めた。
2018年のリベンジの舞台は整った。
次はトップ取りの麻雀へと変わるが、こちらの経験値も群を抜いているはずだ。
1位通過の神森。
冒頭にも書いたが、運の要素も大きく絡む麻雀というゲームにおいて練習の賜物を見せてくれたのではないか。
2着の麻雀においてのセオリー進行や状況判断、全てを卒なく落ち着いてこなしていた。
次はいよいよトップ取りの決勝戦。
こちらの準備も万全なはずだ。
冷静に落ち着いた麻雀からは一変、決勝卓では攻めに攻めた神森の麻雀が見れるかも知れないぞ。
最高位戦日本プロ麻雀協会46期前期。九州在住のプロ雀士。
麻雀と愛猫(ピンフ)を愛してやまない。嫁の小言にはベタオリ気味。
著書:最高位戦コラムFACES
Twitter:@aktk0207