突撃!「麻雀格闘倶楽部」 熱狂と羨望…そして劣等感を体感した夜。【熱論!Mリーグ】特別編

熱論!Mリーグ【特別編】

突撃!「麻雀格闘倶楽部」

熱狂と羨望…そして劣等感を

体感した夜。

文・ZERO/取材日2018年12月17日

雀荘に入ったら、まずおしぼりで手を温める…そんな季節がやってきたなと思わせるくらい風の冷たい夕方だった。

12月17日。私は浜松町の駅にいた。これから行われるMリーグの取材にいくためだ。

Mリーグの会場は、JR浜松町駅から10分ほど歩いたところにある。外から見ると一見普通のビル。受付を済ませ、中に入る。とても明るく、そしてキレイで、選手達が集中できる環境だと感じた。

ロビーのような広いスペースに本日対局のあるMリーガー達が揃っていた。毎日パソコンのモニター越しで見る、もうすっかり見慣れたユニホーム姿。

選手達は和やかに談笑しているようにも見えるが、敵チーム同士ということあり牽制しあっているようにも見える。私は、神聖な場所に足を踏み入れてしまっているんだな…という自覚と、対局前の選手達の邪魔をしては悪いな…という気持ちで、一気に緊張感が高まってきた。

本日、お世話になるのはKONAMI麻雀格闘倶楽部さん。

正直、気が重かった。他のチームには話したことのあるプロはいるのだが、格闘倶楽部の3人とは全く面識がないからだ。前原雄大プロは気難しそうな印象だし、高宮まりプロは人見知りと聞く。佐々木寿人プロは何も話してくれなさそうだ。ましてや格闘倶楽部はなかなか上昇のきっかけが掴めず、最下位にいるチーム。重苦しい空気の中、選手の集中を乱してしまわないかと気になっていたのだ。

しかし、私の心配は杞憂に終わった。むしろ印象は180度変わったと言っていい。

前原さんはとても気さくで優しく、麻雀に限らずいろんな話をしてくれた。そして対局前の大事な時間だというのに、対局会場までの道のりを案内してくれたのだ。

高宮さんは画像で見るよりも断然キレイだった。

顔キレイ

声かわいくて

体ダイナマイト(字余り)

つい一句詠んでしまいたくなるくらいのオーラ。一定時間同じ場所で過ごすと、男なら誰もが惚れてしまうのではないかという危険を感じた。危ない危ない。

そして寿人さんも口数こそ少ないものの、質問したら必ず丁寧に答えてくれる。

おこがましいかもしれないが、寿人さんの麻雀感は自分にもとても合っている。

まさにゼロ秒思考という感じだ。

一般ファンにもわかりやすくて男気ある雀風だと思うし、何よりカッコいい。

この日はものもらいで目を傷めてしまったらしく、残念ながら対局はできないそう。

高宮さんは寿人さんに先週の対局のことを真剣な表情で聞いていた。寿人さんもしっかりと答える。

「余計なことは考えるな。まず自分の手牌を見ろ」

というようなことを言っていた。

あれはオリない方がよかった、と意見することはあっても、あれは押しすぎだ、と言うことは一切なく、とても寿人さんらしいと思った(笑)またそう言ってくれた方が伸び伸びと打ちやすいだろう。

一方で前原さんがとぼけたようなことを言い、寿人さんが突っ込む。まるで親子漫才をみているようでとても面白かった。

そしていよいよ対局が始まる。

この日は前原さんが連闘する予定。高宮さんが考えた作戦?は

前原さんから緊張感は感じないし、控室は終始和やかなムードだったが

3人が拳を合わせる。その瞬間、言葉はなくとも3人は深いところで繋がっているんだな…と感じた。

 

対局は始まった。我々はモニターを凝視する。

今まで、これといって特に応援するチームもなく、どこか冷めた目でMリーグを観ていた。パブリックビューイングで騒ぐ人達を見ても、自分はああいう風に他人を応援することはできないな…と思っていた。

しかし、その思いも180度変わった。

回りすぎて結局0度じゃないかという突っ込みはおいといて、心から前原さんの勝利を応援している自分がいたのだ。これまで自分のためだけに麻雀を打ってきたので、その感覚は新鮮だ。

そして複数人で応援しながら見る麻雀がこれほどまでに面白いとは思ってもみなかった。前原さんの配牌が映し出されるまでドキドキするし、有効牌を引き入れるたびに自分のことのように喜んでしまう。リーチのめくり合いになると、もう画面を直視できないくらいだ。見るけどさ(笑)いつもは長く感じる2半荘も、この日に限ってはあっという間に終わってしまった。

この日、前原さんは2着→1着の活躍で、格闘倶楽部は決勝進出であるボーダーの4位がくっきりとみえる位置まできた。

前原総帥の帰還を高宮さんと寿人さんが迎え、再び拳を交わす。

私は感じた。こうして控室に招いていただき、同じ空間を共にはしているが、3人は3人だけの結束があり、そしてそこには3人以外の誰も入り込めないんだな…と。

高宮さんは2人を信頼しきっているし、前原さんは我が子のように見守っている。寿人さんも言葉にはしないが、チームに熱い思いを持っていることをひしひしと感じた。

これは格闘倶楽部に限った話ではなく、他のチームも同様だろう。

チームで戦う麻雀がこれほどまでに熱く、面白いとは。

こうして、全体的に

「ここにいてはいけないんじゃないか」

という気持ちで取材を終えた。

これは控室云々ではなく、会場全体が持つ神々しい雰囲気がそう感じさせるのだ。

今月の近代麻雀の岡田紗佳さんのコラムにも同様のことが書いてあった。

>よく知った選手達と笑って会話をしていても何かが違う。正直私は逃げ出したくなった。選手達のプレッシャーや緊張感がひしひしと伝わってきた。私と会話しているはずなのだが、意識は私にはないのだ。画面を通して見ているだけでは分からなかった重圧がそこにはあった。

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