日常の中の非日常 運と技術の間で小林・黒沢・村上・魚谷が魅せるフリープログラム【熱論!Mリーグ】担当記者:ZERO

熱論!Mリーグ【Tue】

日常の中の非日常

運と技術の間で

小林・黒沢・村上・魚谷が

魅せるフリープログラム

文・ZERO【火曜担当ライター】2019年11月12日

雀荘に入ったとき渡されるおしぼりの温かさに、手も心も癒やされる時期がやってきた。

このおしぼりの有り難さ、万人がわかってくれると思っていたが、現実はそうでもないらしい。

↓のとある市場調査での図を見てもらいたい。

参照記事・Mリーグに関するアンケート調査

ちょっとわかりにくいかもしれないが、ようはMリーグ視聴者全体(4.0%)のうち、半分以上(2.5%)が麻雀を一度もプレイしたことが無い方なのだ。(パーセンテージは人口に対して)

我々コア層からするとなかなか実感が湧いてこないが、麻雀界も大きく変容したなと思う。

と同時に、このMリーグ観戦記ももっとわかりやすく丁寧に、そして麻雀って面白いなと感じてもらえるように書かねば…と身の引き締まる思いである。

麻雀の良さは、たくさんありすぎて語り尽くせないが、その中でも私は「日常の中の非日常」にあると思う。老若男女誰でも卓に着くことができ、技術と運のバランスが絶妙で、これほど長い期間真剣になれるゲームを私は他に知らない。(かれこれ30年やっているが、まったく飽きない)

好きな打ち手の真似からでもよいので、いつか自分の手で牌を握ってほしいなーと願う。

そんなわけで今回は原点回帰というわけではないが、1回戦を振り返りつつ、4人全員を紹介していこうと思う。

東場はフリー演技、南場はショートプログラムと言われている。

言っているのは私だけだが、南場に入ると点棒状況によって打ち方が限定されてくるので、東場の打ち方こそ個性が表れるのは間違いない。

そういう意味ではチーム雷電・黒沢咲は最も個性的な打ち手だろう。

セレブと言われる黒沢は、東1局から高級感漂う選択を見せる。

この手牌で黒沢は何を切ったか。

なんと、ど真ん中のを打ったのだ!

通常、1つの打牌(打)で2つの受け入れ()を消す選択は良くないとされる。しかし黒沢はそんな庶民的な受け入れに興味を示さなかったのだろう。マンズのホンイツイッツー、ドラ()の受け入れやチャンタという高打点のルートだけを残しつつ、安全牌のを抱えたのだ。

この判断が良かった。

下家の村上からリーチが入るも、黒沢はその村上のリーチの直前に危険なを処理した格好だ。ここから温めておいたを切る。

受け入れを狭めて安全牌()を抱えるのは消極的な選択に映るかもしれないが、安全牌を抱えたからこそ押し返す場面を増やすことができるとも言えるのだ。

数巡後にをポンして1000点のテンパイ。

打点こそリーズナブルだが、あそこでを先に処理したからこそノーリスクで辿り着いたとも言える。お値段以上ってやつだ。

しかし結果は村上が倍満をツモ。

大きく抜け出して始まった。

東3局

黒沢は待ちでテンパイ。一手で役満(四暗刻)に変わることから、リーチを打つかの判断が難しいところだ。ただ、がすでに1枚打たれていること、下家の小林がをポンしていることから、リーチしても良いかなーと思ってみていた。

しかし、黒沢は大方の予想通り…

を縦に置いた。

黒沢の麻雀に、そして雷電の麻雀に、役満の見えるこの手でリーチはない。ということだろう。この手はどちらもあるところだが、今季の黒沢のデータを見てみると

アガリ率17.58%

フーロ率5.26%

(Mリーグ成績速報様より引用)

と、29人の中でもかなり低い(特にフーロ率)

黒沢の良さが出る前に決着し、ジリジリと点棒を削られていく展開が多いことを数字が示している。

ハマれば強いのだが、なかなか望む展開にならず雷電ファンはもどかしいところだろう。

さて、黒沢の麻雀の対極にあるのが

Pirates・小林剛だ。

さきほどの局、小林がどんな手牌からをポンしたかというと…

ここからだ。

この手はメンゼンでリーチまで持っていっても、そうは高くならない。

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