ジンクス打ち破る弾丸　渋谷ABEMAS松本吉弘【Mリーグ2023-24観戦記 11/2】担当記者 #後藤哲冶

これがあまりにも綺麗に決まる。
淀みないリーチ発声で、が横を向いた。
高目イーペーコーのピンフテンパイ。

これをまたしても高宮から捉えた。
高目のは5800。

少考は要素になる。考える間が少ない打ち手で言うと格闘倶楽部の寿人の名前がよく挙がる。

愚形リーチだろうが、高打点リーチだろうが、事前に決めてあるから即決できる。
河の情報を処理する速度が高い証拠だ。
松本もまた、その域にまで達しようとしているのかもしれない。

南３局３本場

トップを奪われた浅見が食らいつく。
高宮の先制リーチにの暗槓からのリーチで被せて討ち取り。
裏を乗せての12000は、トップの松本に肉薄するアガリだ。

勝負は、南４局へ。

浅見と松本のアガリ競走。
トップは譲らない。松本がこの形からをポンしてイーシャンテン。
形が良いとは言い難いが、少しでもアガリに近くなるなら仕掛けていく。
上家が勝負を終わらせたい亜樹であることも大きい。鳴ける牌は切ってくれる可能性が高い。

先制テンパイに辿り着いたのは松本。
とのシャンポン待ちに望みをかける。

浅見が追い付いた。
待ちならリーチタンヤオピンフドラ１で8000点確定。
しかしがもう目に見えて０枚。

ならば、出アガリは裏条件にはなるが、ツモればトップで、１枚はいそうな待ちに浅見は賭けた。

浅見と松本のトップを巡るめくりあい。お互い待ちは、山に１枚ずつ。

勝負の行方は。

終わらせたい亜樹がテンパイをキープするを打って。

松本の逃げ切り決着となったのだった。

２着に、ドリブンズ浅見。
点棒を持ってからも果敢に攻め込んでいたのが印象的だった。

インタビューでは、最後の待ち取り、かにするかの選択について言及していた。
結果だけ見ると、高宮がリーチ後にを切っているため、ならばアガリがあったかもしれない。
しかしその結果だけで語るのは、ドリブンズの麻雀ではない。
きっと楽屋で待つ仲間達が、どっちの選択がより期待値が高いかを論じてくれるはず。
それがまた、浅見の糧となり。次はトップをもたらしてくれるに違いない。

トップに、松本吉弘。
東場で10000点を割っていたはずの男は、南場で大復活を遂げてみせた。
点棒を失ってからも這い上がって来るその理由は、やはりその王道ともいえる打ち筋と、押し引きにあるのだろう。
もし仮に、南３局でトップを獲得してから、追撃のアガリを決めていなかったら、オーラスはどうなったかわからない。
あの親番できっちりと稼げるところまで稼ぐからこそ、松本は安定して強いのだろう。

これでABEMASは２位浮上。
１位の麻雀格闘倶楽部が本日４着２回だったこともあり、１位すら見える位置にいる。

これが王者ABEMASの強さ。
今年も安定感抜群の戦いを見せてくれている。

きっと今シーズンは。

卓上のヒットマンの麻雀が、ジンクスを打ち破る弾丸となってくれるだろう。