忍の一字 瀬戸熊直樹【Mリーグ2023-24観戦記 12/7】担当記者 #後藤哲冶

東3局、この形から、瀬戸熊が【西】をポンして打【1ソウ】
東をポンして【北】を2回引けば役満小四喜だが、そうでなくとも、寿人の親を蹴るアガリは大きい。

しかしそう簡単に事は運ばない。
まずは親の寿人から先制リーチ。【5マン】【8マン】待ちの満貫確定リーチだ。

そこに食らいついたのが、瀬戸熊の盟友でもある多井。
実に1ヶ月ぶりの登板となった多井が、【9マン】をチーして【5ソウ】【8ソウ】のテンパイ。

2人テンパイに対してギリギリまで自身のアガリのルートを見ていたが、ドラの【6マン】を持ってきてここで手を崩す。
未練は残さない。ハッキリとやめる打【南】

最終盤に亜樹もテンパイを取り切り、3人テンパイで流局。
瀬戸熊に、ノーテン罰符の3000点が課された。

瀬戸熊にとって苦しい時間帯が続く。
アガれそうな手が入っても、先手が取れない。
先制リーチを受け、オリに回る展開。気付けば4局連続の流局。
供託は5本、4本場。アガるだけで6200点のオマケがついてくる東4局4本場

瀬戸熊は自風の【西】が重なる、が、もう状況はそんな話をしている場合ではなくなっていた。

既に多井が3副露。【5マン】【8マン】のテンパイ。

寿人も2副露でテンパイ。待ちは【3ソウ】【6ソウ】
高く積みあがった供託を回収するために、この2人が最速のテンパイを組んで来た。

アガリを見るならソーズの愚形を払いたいところだったが、瀬戸熊はここも我慢を選択。
余計な放銃はしない。耐えて耐えて、もう一度二の矢を放てる機会を待つ。

この局は多井が亜樹から【8マン】を討ち取って1000点のアガリ。
1000は、4本場で2200に、リーチ棒供託5本のおまけつき。
これでトップ目の瀬戸熊に迫ると

持ってきた南1局の親番で、多井が2000オールのアガリ。
これで、瀬戸熊を捲って多井がトップ目に。

更に寿人もやってきた。
南1局1本場、亜樹のリーチが聞こえていないかのように無スジを切り飛ばし、力強く【6ピン】のツモアガリ。

トップ目だった瀬戸熊だが、度重なるノーテン罰符と、ツモによる削られで、3着にまで落ちてしまった。
……が、ここまで放銃無しの我慢が、現状の点棒28300点に繋がっている。
瀬戸熊は手牌を崩すときはハッキリとオリに徹し、他家に対して安全牌が窮することがないように、徹底的に丁寧にオリてきた。

『忍の一字は衆妙の門(にんのいちじはしゅうみょうのもん)という言葉がある。耐え忍ぶことが、成功に繋がるという意味の言葉。

瀬戸熊の『忍』は、親番での勝負手を呼んだ。
【9マン】よりも【1ピン】を手に残したのは、安全度よりも少しでも重なる方を選んだ結果。

これをツモアガる。
値千金の4000オール。
瀬戸熊が耐え忍んだ先で放った二の矢が、均衡していた卓を深く穿った。

南4局1本場

【發】をポンして自らアガリに行く道も辿っていた瀬戸熊だったが、終盤に親番の亜樹からのリーチを受ける。

静かに、点棒状況を確認する。
道中、苦しい中でも放銃は一切せずに耐え忍んできた。
そんな瀬戸熊が、最後に選んだのは。

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