「風」に帆をかけて~
「戦う海賊」鈴木優の快走劇
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2023年12月8日
第2回戦
東家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
西家:猿川真寿(BEAST Japanext)
北家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
まずは、このゲーム開始時の個人成績をご覧いただきたい。
第10位 鈴木優 +99.4(11試合)
第11位 渋川難波 +94.1(10試合)
第32位 茅森早香 ▲176.8(10試合)
第33位 猿川真寿 ▲203.9(11試合)
となっており、好不調の差がはっきりと浮かび上がっている。
下位陣にしてみれば、早いタイミングで不調劇に線を引き、反転攻勢に打って出たいはず。
そのためには、なにか大きな「きっかけ」が必要。
「きっかけ」を作れなければ、この傾向がズルズルと続いていくと考える方が自然だろう。
茅森、猿川はその「きっかけ」を早くつかみたい。
さぁ、どうする?
東2局。
追い風を背に受けて、親の優が4巡目にテンパイを入れた。
親につき、押さえつけるためのリーチも一興だが、高打点に向かう変化のタネが目白押しであることから当然のヤミテン。
そして、
カンチャン待ちが両面待ちに変化したところで、満を持して先制リーチ。
親の早いリーチに対応を余儀なくされる子方だが、直後の猿川。
ソウズとピンズともに4連続形と好形のイーシャンテンだったが、を引いての愚形テンパイ。
自分からが3枚見えているので、を切れば比較的安全にテンパイ取りは可能。
猿川は当然、を手に取り変化を待つヤミテ…
いや、違う!
不調の日々に決別する「きっかけ」を作るべく、死中に活を求めた。
しかし。
「が悪いという情報が無かったので、ドラ1だし良いかと思ってリーチしたんですが…。ちょっと(構想と現実がマッチせず)上手くいかなかったなと思います。」
対局終了後、自らのフォーカスのズレに歯がゆさをにじませた猿川。
その言葉が暗示するように、猿川は和了にたどり着かなかった。
優が最終盤にを掘り当てて4,000オールの決着。
猿川、そして茅森も活路を求め、優にプレッシャーをかけたが結果は裏。
不調に喘ぐ2人の顔が歪む。
対照的に、優は追い風を味方にして大きな加点に成功。
今日も風向きは変わらないのか?
東3局。ドラは。
親の猿川、打点は安いながらも「これくらいは和了らせてよ」という先制リーチ。
しかし、解説の藤崎智プロが一言、「気持ち悪い…。」と思わずつぶやいた。
リーチ後のツモがドラの、そして。
牌の来方にまとわりつく「間の悪さ」がなんとも寒い。
何かが噛み合わない居心地の悪さを感じてしまう。