記録に「放銃回数1」を刻む、盟友多井への差し込みだった。
チームに11戦ぶりのトップを持ち帰った瀬戸熊。
雷電ユニバースに久しぶりの笑顔を届けることができた。
そんな念願のトップとなった試合直後の瀬戸熊から、こんな話をしてもらった。
多井の2000オールのアガリとなった、南1局。
瀬戸熊はここで、安全牌のを残し、リャンメン2つのイーシャンテンに構える切り。形を固定した。
しかし結果的にこれが裏目となり、雀頭のテンパイを逃してしまう。
が既に2枚切れていて盤石ではなかったことから、このは手に残して置くべきだった、と語っている。
結果、これがアガリに対して一手遅れてしまい、その間隙を縫うようにして、盟友多井にアガリを取られた。
この瞬間、瀬戸熊の胸の内に一番に湧き上がった感情は、「後悔」でも自らに対する「怒り」でもなかったという。
その答えは。
「楽しい」だった。
この一手のミスすら咎めてくる長年のライバルに対して、「お前は許してくれないよな」とそう思ったのだという。
――私達はこの2人の対局を、あと何度見ることができるのだろう。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924
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