忍の一字 瀬戸熊直樹【Mリーグ2023-24観戦記 12/7】担当記者 #後藤哲冶

記録に「放銃回数1」を刻む、盟友多井への差し込みだった。

チームに11戦ぶりのトップを持ち帰った瀬戸熊。

雷電ユニバースに久しぶりの笑顔を届けることができた。

そんな念願のトップとなった試合直後の瀬戸熊から、こんな話をしてもらった。

多井の2000オールのアガリとなった、南1局
瀬戸熊はここで、安全牌の【北】を残し、リャンメン2つのイーシャンテンに構える【4マン】切り。形を固定した。

しかし結果的にこれが裏目となり、【7ソウ】雀頭の【3ピン】【6ピン】【9ピン】テンパイを逃してしまう。
【9ソウ】が既に2枚切れていて盤石ではなかったことから、この【4マン】は手に残して置くべきだった、と語っている。

結果、これがアガリに対して一手遅れてしまい、その間隙を縫うようにして、盟友多井にアガリを取られた。

この瞬間、瀬戸熊の胸の内に一番に湧き上がった感情は、「後悔」でも自らに対する「怒り」でもなかったという。
その答えは。

「楽しい」だった。
この一手のミスすら咎めてくる長年のライバルに対して、「お前は許してくれないよな」とそう思ったのだという。

――私達はこの2人の対局を、あと何度見ることができるのだろう。

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