熱論!Mリーグ【Tue】
それは正着なのか奇手なのか
麻雀IQ220勝又健志だけが
見えている現実
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2019年12月3日
本日はMリーグプレミアムナイトだ!
Mリーグではパブリックビューイングが定期的に開催されているが、プレミアムナイトはその中でも特別に900名超の大迫力の会場で行われるイベントだ。
初公開となる場決めや、28人の登壇選手によるトークショー、ここでしか手に入らないオリジナルグッズが抽選で当たるプレゼント抽選会など、来場者のみが体験できるステージコンテンツがたくさん用意されている。
プレミアムナイトの次回開催予定は来年の2月3日。興味を持った方は先行抽選も存在するのでぜひ応募してみてはいかがだろうか?
そんなMリーグでも初となる大イベント、大勢のファンの目の前で負けるわけにはいかないだろう。各チームともエース級の選手をぶつけてくることが予想された。
その期待通りというべきか
1回戦は渋谷アベマズから多井隆晴、TEAM雷電から瀬戸熊直樹、EX風林火山から勝又健志、赤坂ドリブンズから鈴木たろうの登板が予告されていた。
Mリーガーの中でも指折りの4人が先発を託されたことになり、プレミアムナイト会場にいなくともその盛り上がりを感じられることが必至の対戦カードだ。
ここ数節で混戦模様が極まってきているが、その中でのエース級の激突ということもあり、今日の試合はまさに天下分け目の戦いともなるかもしれない。
特に注目したいのはEX風林火山、勝又だ。
EX風林火山は11月29日に滝沢和典と二階堂亜樹の両名がラスを引かされるという痛恨の敗戦を喫して以来の出陣。
“軍師”勝又の策で体勢の立て直しなるか。
【東1局】
開局、勝又の配牌。遠くにチャンタが見えるものの、面子もなく愚形だらけの悪い配牌。ここはから切り出していった。赤有りルールでチャンタを狙うことは非効率とされがちだが、この手形なら渋々といったところだろうか。
を引いて半歩前進。ここは……
唯一生牌のから切り出していった。
自分の重なりだけ見れば残したい牌ではあるが、残している、は共に親のたろうの現物である。役牌からの切り出しでまっすぐ進めているたろうには通りそうなだが、他家に対しての先切りを重く見た形だ。
を引いて、打。こうなると三色や役牌の重なりがメインだろうか。
を引いて、ここは……
打!
三色を消して、役牌重なりか面前かに絞った形だ!なぜだろうか。
もう一度河をよく見てみるとその答えが分かる。役牌から切り出している親のたろうが直前にを手出ししているのだ。
役牌切り出しということでタンヤオや平和にまとまっていて、役牌の重なりがいらない手だということが分かる。そんな人が切り出したドラそばの。火の手が上がるのはもうすぐそこだと見て、多井が切ったに合わせる形を取ったのだろう。
次巡にはドラのを引き入れ、何やらすごい形に。ここでも親に通っていないを処理していった。
を引いて一歩前進。
が入ってイーシャンテン。配牌からは見違えるほどの勝負手になった。
このように、早そうな対戦相手の危険牌を先に処理しておくことで、道中いくつかの受け入れこそロスするものの、中~終盤にかけて攻め返しやすい形にするという打ち方は遠い手での常套手段だ。特に勝又はこういった進行をよくする印象があるだろう。
しかしこの局はリーチを打ったたろうから多井に3900+リーチ棒の横移動で局を終える。
【東2局】
多井がこの形からペンをチー!これは多井のトップ絶対取る打法。
この手が簡単にアガれるとは思っていないだろうが、親番で大人しくしているよりは加点を目指そうという選択だ。
それを受けた勝又。ここは字牌を切らずに打。
をポンするには心許ない形だ。安全度の高い頭候補を求め字牌の受け入れを残した。
さらに多井が二つ目の仕掛け。役牌だけでなく、チャンタや三色、果てはドラ4がアタマの一気通貫ということもあるかもしれない。狙いの絞りづらい仕掛けだ。
ドラを引いて来る勝又。ここは……
打。まだまだは切らない。確かに放銃だけを嫌うならを早めに切り出すメリットもあるが、この形から2フーロの多井にを切るのは、どうぞアガって下さいというようなものだ。