熱論!Mリーグ【Fri】
リーチ超人・村上淳 VS
ダブル天鳳位・朝倉康心!!
ボーダー争いにしのぎを削る
2チームの死闘に
刮目せよ!!
文・masasio【金曜担当ライター】2020年2月28日
「1.6ポイント」
2月27日の第1試合、フェニックスの魚谷がMリーグ最大スコアを更新する特大のトップを取った。
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そのあおりを受けて、Pirates石橋は箱下1万点の大きなラス。
7位ドリブンズとの差が1.6ポイントまで縮まってしまったのだ。
窮地に立たされたPiratesだったが、第2試合では小林が値千金のトップ。
パイレーツ・オブ・Mリーグ/最後のサイボーグ~冷静な男・小林剛~【熱論!Mリーグ】
ドリブンズとの差を61.3ポイントまで広げて今日、2月28日を迎えることとなった。
今回は、Piratesとドリブンズの、目まぐるしく入れ替わるボーダー争いに注目したいと思う。
第1試合は、Pirates小林が3着、ドリブンズたろうが4着で終了。
東3局に小林が、リーチを掛けていたたろうからマンガンを出アガリトップ目に立った。
もしこのまま、小林トップ―たろうラスなら、Piratesがドリブンズに172.5ポイント差をつけることができたのだが、なかなかそう都合よくはいかない。
小林としてはドリブンズより上の着順を取るという最低限のミッションをクリアしたことになるし、たろうにしても途中箱下まで沈んでいたことを考えれば、Piratesとのトップラスを決められなかっただけ助かったと言えそうだ。
Piratesとドリブンズの差は92.5ポイント。
トップ―ラス1回でひっくり返る数字だ。
まだ残り試合もあるうえに、他のチームが落ちてくる可能性もある。それゆえこの2チームだけの争いというわけではないが、当面のボーダー争いはこの2チームがメインになるだろう。
第2試合
東1局から激しくぶつかる。
まずは親番Pirates朝倉がをポン。
が使い切れれば打点充分。
アガリまではかなり近そうだ。
これは朝倉の先制パンチが決まったかに思われたが・・・
震える手でドラのを勝負し、当然のリーチだ。
仕掛けとリーチに挟まれた内川。
内川は前回、2月24日の試合で徹底したドリブンズ封じを見せた。
サクラナイツは現在17.6ポイントで第5位。
ここでラスを引こうものなら、ボーダー争い巻き込まれてしまうのは必至だ。
当面のライバルである村上のリーチ、さらには親の朝倉の仕掛けに、リャンメンとはいえリーチのみでは採算が合わないと見た。
自分で3枚使っているを切らずに済むうえに、タンヤオがついて打点もアップ。
これならばとリーチに踏み切った。
そう、内川は前回ドリブンズを封じることには成功したものの、その代償としてチーム雷電黒沢に四暗刻単騎を放銃してしまったのだ。
「今日こそは自分の手でドリブンズを沈めてやる」
そんな気迫が感じられる、内川の押し引きだった。
さあ、3人の待ちは充分残っている、朝倉か?村上か?内川か?
運命を決めるかもしれない壮絶なめくり合いを制したのは村上だった。
これはただの2000/4000ではない、朝倉のテンパイをすり抜けての大きな2000/4000だ。
裏ドラをめくる村上の手が震えていたことが物語っている。
一方朝倉にとっては勝負手をつぶされ、最悪の親被り。
Piratesとドリブンズで明暗がはっきり分かれてしまった。
ちなみにこのアガリで・・・
6位 ドリブンズ マイナス150.5ポイント
7位 Pirates マイナス151.0ポイント
ドリブンズがPiratesを500点交わしたのだ。
開始前にあった92.5ポイントという差は1回のアガリで簡単にひっくり返ってしまうものなのだ。
しかしまだ東1局。
勝負は終わるまで分からない。
東3局
内川が仕掛ける。
をポンして打これは少し意外な選択だった。
Mリーグではここからを先に切ってのくっつきを切るという手筋をよく見るからだ。
しかし、にくっついてもマンガンにはなりにくい手。
それならば素直に受け入れを広くしておいて損は無さそうだ。
一見バラバラに見えるが、ドラのさえ引けばそこそこ戦える形になる。
鳴いた方がマシ、という仕掛けだろうか。
受け入れを広くしておいたのが活きた。
を切ってとのシャンポンに受ける。
内川の方にちらりと目をやり、を合わせた。
見ての通り、朝倉の手はターツが全く足りていない。ここからを切ったということはアガリをあまり見ていないということだ。
内川はを切ってからをポンしている。
にくっつける必要が無いということはそこそこまとまっている手牌といえそうだ。
マンズのホンイツだとしてもが余っているためそんなに遠い仕掛けではないだろう。
ここは守備に徹するかと思われたが・・・
巡目が進んでここからを切って3900の放銃となってしまった。
自分の手はとてもアガれそうではない。苦しくてもを切る選択はあっただけに少々淡泊な放銃に見えた。
不思議に思ったが、対局後に打牌意図を朝倉本人がツイ―トされていたので引用する。
「東2鳴きで仕掛けの敷居を低く見て打点と待ちのレンジ読み違え」
そう、内川のポンは2枚目。朝倉が1枚目を切った直後に重なっての仕掛けだったのだ。
今回の内川のような手なら1枚目から仕掛けるはず―
その読みは正しいのだが、今回のように例外のケーズもある。
朝倉の洞察力が裏目に出てしまった一局だった。
ちなみに朝倉のように、打牌の意図を発信してくれる選手やチームは非常にありがたいし、好感が持てる。
是非とも多くの選手。チームにこういった発信をしていただきたいものだと思う。
3900の放銃でPiratesはさらに苦しくなる。
6位 ドリブンズ マイナス150.5ポイント
7位 Pirates マイナス154.9ポイント
東4局1本場
試合が大きく動く。
トップ目に立つ。
親のツモアガリなのでPiratesとドリブンズの差は変わらない。
勝負はこれからだ。
6位 Pirates マイナス159.0ポイント
7位 ドリブンズ マイナス196.1ポイント
おや?Piratesとドリブンズがいつの間にか入れ替わっているぞ?
そう、内川がトップ目に立ったことで、村上が暫定2着になったのだ。
Mリーグはトップに50ポイントが加算される、トップの価値が非常に高いルールだ。
朝倉としては、村上よりも上の着順を目指すのはもちろん、村上のトップは何としても阻止しなければならないのだ。
この辺りが終盤戦の面白いところだ、この半荘もここからさらに目まぐるしくチーム順位が入れ替わることになる。
東4局3本場
高めツモなら3000/6000だ。
リーチを受けた村上
は1枚切れ。ここではを落としていく。
ドラの待ちだ。
現物はの1枚だけ。
ターゲットである朝倉は現状ラス目。
しかしマンガンを放銃してしまうと一気に並ばれてしまう。
行くか、はたまた引くか。
リーチだ。
しかし待ちはヤマに残り1枚。
対して朝倉のは4枚もある。万事休すか・・・
開かれたのは村上の手牌だった。
東1局に続いて、朝倉の勝負手をつぶす価値あるアガリだ。
「リーチ超人」
言わずと知れた村上の二つ名だ。
実際はダマテンを選択することも多いのだが、まさに超人的なリーチ、そしてアガリだったと思う。
東1局のをツモられたのはまだしも、今回のは自身がトイツの牌だ。
勝負手をつぶされてこの表情。
しかも村上がトップに近づいてしまった。
どこかでアガリが欲しい。
6位 Pirates マイナス164.5ポイント
7位 ドリブンズ マイナス192.4ポイント
南1局1本場
朝倉一人テンパイで迎えた1本場、またしてもこの男。
赤が2枚あって打点充分なため、リーチに向かって手広く構えると・・・
そしてもちろんリーチだ。
もしカンをしていたら、ここで待ちにするしかなかった。
先ほどのカンに続いてのラス牌ツモで内川をかわしてトップ目に立つ。
朝倉は親被りでさらに厳しい状況になってしまった。
親が落ちてしまったため、3着浮上と、村上のトップを阻止することを目標にするしかない。
6位 ドリブンズ マイナス141.1ポイント
7位 Pirates マイナス 167.6ポイント
南2局
ここまでひたすら耐えていた朝倉に一筋の光が差した。
このアガリで内川がトップ目に立ったのはもちろん、自身が寿人をかわして3着目に上がったのだ。
せめてこのままの着順で終わってくれ―
6位 Pirates マイナス 147.6ポイント
7位 ドリブンズ マイナス 181.1ポイント
南3局
追う立場になった村上、朝倉の切ったをスルーすると・・・
タンピン系に一気に寄せる切りかと思われたが村上は切り。
チートイツを強く見た進行だ。
リーチ一発で寿人から出アガリマンガン。
トップ目内川まで500点差に詰め寄る。
6位 Pirates マイナス 147.6ポイント
7位 ドリブンズ マイナス 173.1ポイント
オーラス
朝倉のミッションは内川をトップにして、自身が3着を確保することだ。
何を切るか難しい手牌だ。
567の三色が明確に見えるため、この部分はさわりにくい。
さらにがドラのため今できたばかりののターツも切りたくない。
ポンも魅力的だし、どれを切っても裏目がある。
朝倉の選択は・・・
打だ!!
普段なら絶対に選択肢に上がらない牌だが、この特殊な状況なら有力な選択になる。
まずこの手、アガりたいのはやまやまだが、村上をトップにするアガリはしてはならない。
従って内川からアガリ牌が出た場合は見逃すことになるのだが、問題はツモアガリだ。
内川と村上の点差はわずか500点。
そして内川は親番。
つまり、1000/2000を朝倉がツモると、親被りで内川が2着に転落。村上がトップというPiratesにとって最悪のシナリオが待っているのだ。
は三色と赤の2役に絡む牌。
本来ならば一番大切にしたいはずの打点の種を切らざるをえなかったというわけだ。
もしが鳴ければを切っていく算段だったかもしれない。
終盤戦ならではの1打だったがこの局は内川のリーチに村上が放銃。
裏ドラが乗らなければマンガンツモでトップになることができたが、裏1の7700だとハネマンツモが必要になってしまう。
これで勝負あったか。
朝倉にとってはこの上ない展開だ。
まさか村上が自ら内川に放銃してくれるとは。
あとは自分が3着を確保するだけだ。
6位 Pirates マイナス 147.6ポイント
7位 ドリブンズ マイナス 180.8ポイント
南4局1本場
あと1巡で流局。
苦しい半荘だったけど、ドリブンズと2着―3着ならギリギリ耐えただろう。
出来ることはやった。
ここまで朝倉と同じくノーホーラだった魔王寿人がハイテイでドラタンキをツモアガリ。
4000/8000で3着浮上。
つまり朝倉はラス。
目を閉じて何を思うのだろうか。
やれることはやったという納得の思いだろうか、それとも、もっと出来ることはあったという後悔の念だろうか。
この半荘は劇的な展開ももちろんなのだが、熱い思いを露にして戦う朝倉、そして村上と、ひょうひょうとした表情で戦う寿人の対比が印象に残った。
第2試合開始時点での92.5ポイント差が13.2ポイントまで詰まった。
順位一つの差が20ポイントなので実質並んだといっていいだろう。
残り4試合、直接対決はあと2戦―
Piratesとドリブンズの激しい争いから目を離すな。