【徹底検証】茅森早香は
親番の四暗刻イーシャンテンで
押すべきだったのか?
文・ゆうせー【木曜担当ライター】2024年1月25日
第1試合
東家:猿川真寿(BEAST Japanext)
南家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
この試合を書く上で触れなければいけないのは、東2局。
茅森が四暗刻イーシャンテンで、リーチに対してどう押し引きするかの場面。
立体図は、
こうなっている。
みなさんならどうするだろうか。
ところで、私は、Mリーグをはじめとする公開対局の打牌について、「どうした方がよかったのか?」と積極的に検討することに「賛成」する側の人間だ。
もちろん、選手へ罵詈雑言を浴びせることや、打牌や麻雀を飛び越えて人格の否定をしてはいけない。それは当然のことだ。
だが、Mリーガとて神ではない。人間である以上、悩んだり、ミスをしたりする。「Mリーガーが切った牌が正しい!」と必要以上に神格化するのもまた行き過ぎだろう。
その場で色々なものを背負って戦っている選手にリスペクトの念を持ちつつ、「選択のゲーム」である麻雀の「難しい選択」について活発な議論を交わす方が、むしろ麻雀として健全ではないかと考える。
そして、
「自分ならこうするかな」
「おおっ!これ出来ないわ!すごい!」
と思いながら、語らいながら見る方が、何より楽しいだろう。
みなさんもぜひ、あれやこれやと考えながら、Mリーグを楽しんで欲しいと願う。
さて、前置きが長くなったが、茅森の選択は、
打であった。
茅森はを切った理由として、インタビューで、
・トイツで持っているのがと他家に使われやすい牌ばかりで、鳴きにくかったこと
・5200+リーチ棒を加点した状態であること
・一発で切る牌の候補が、真ん中のかドラのであったこと
と説明していた。
よって、打として安全に進めつつ、七対子のイーシャンテンをキープした形だ。
だが、茅森の思考も踏まえたうえで、私はを押した方がいいと考える。
まず、四暗刻やトイトイにするなら3枚にしないといけないについては、
に関して、上家猿川の河にピンズが切れていることから、通常よりもむしろ良くなっていることが窺える。
確かにフラットな状態なら、真ん中の牌で使われやすいというのは言える。ただ、この状態ならそう悲観的に考える必要はないだろう。
続いて、31200点を持っていることに関しては、東2局なら、この点数で押し引きを大きく変えるべきではないと判断する。
トップが偉いルールなので、みんなが上を見て打ってくるからだ。このくらいの浮きでは足りず、むしろ一回放銃してもまだゆとりがある、くらいにとらえるのがいいように思う。
そして、浮いているやが厳しい件について、
これはその通りだと思う。基本的に、
「リーチにイーシャンテンから無筋を2本押すのは厳しい」
と言える。まして、はとに当たる可能性がある両無筋だ。
ただここは、あまりにも残っている筋が多いので、自体の放銃率もそこまでではないのである。
残り筋を数えることで、放銃率を概算してみよう。
今、猿川に通っているのは、 の3本。切り順と、「リーチ前に切れている牌のマタギは通りやすい」という点を考慮して、は0.5本と数えていいだろう。そうすると残りの無筋は14.5本。
は2筋にかかっているのだが、
が自分の目から3枚見えている。に関しては、通常の1本よりリャンメンでは当たりにくいと言えるだろう。は0.5本分で考えることにする。となると、は1.5本分となる。
見積もりはある程度ざっくりしていることをご容赦願いたい。実戦や振り返りでは、これくらいの計算で十分役に立つ。
よって、猿川のリーチがリャンメンだと仮定して、残り筋14.5本のうち、は1.5本分。放銃率は約10.3%だ。