【徹底検証】茅森早香は親番の四暗刻イーシャンテンで押すべきだったのか? 担当記者 ゆうせー【Mリーグ2023-24観戦記 1/25】

実際は、猿川のリーチが愚形の可能性もあるので、10%〜ひと桁%後半の放銃率だろう。(【4ピン】【1ピン】の切り順から、数牌のくっつきを見切っていると見えるので、愚形の可能性が低そうではある)。

アレンジを加えながらの概算なので、完璧な値ではない。しかし、90%近く通る牌なら「親番のツモり四暗刻イーシャンテン」の手格好をキープするメリットの方が勝るだろう。

【5ソウ】を押したとて、このままゼンツすることが確定ではなく、

四暗刻トイトイのイーシャンテン「も」、七対子イーシャンテン「も」、そして今後オリるルート「も」全てを残せるのが大きい。そのためには、10%程度の放銃リスクなら見合うと考える。

また、先ほど少し触れたが、茅森は親番だ。加点出来た場合は非常に価値があり、またツモられたときの失点も大きくなっている。

ちなみに、まだチーム状況でこの場面の押し引きが変わることはないと私は考えるが、この半荘単位で考えても、「先の未来を全て買うために」打【5ソウ】がいいだろう。

ちなみに、麻雀AI「NAGA」にかけると、

こんな感じになるが、ここで注意しておきたいのは、「NAGAが出しているのはラス回避ルールでの押し引き評価」だということだ。

ラスだけがマイナスになるフィールドで、ラス目からリーチが来たら、トップ目で引き寄りの判断になるのは当然だ。これをそのままMリーグルールに当てはめるわけにはいかない。

むしろ、「ラス回避ルールでもこれだけ【5ソウ】押しが評価されているのなら、トップ取りルールなら相当【5ソウ】押し有利になる」と考えるべきであろう。

AIに関しても鵜呑みにするのではなく、諸要素を考慮しながら使っていくことが重要だ。

ただ、上の解析を見て「【5ソウ】を押さなければいけない」「【中】切りはありえない」というレベルではないことも同時に分かる。

もちろん、トップ取りルールだという補正を加えないといけないが、一発で【5ソウ】かつ、ドラの【8マン】が浮いているという条件は楽ではない。【中】で大回りする選択も、あるにはあるだろう。

私の中では、

【中】:打【3ピン】:打【5ソウ】=1:2:7

くらいの評価だ。

先ほど0.5本分の危険度とした、【3ピン】をトイツ落としして迂回するルートも有力だろう。

安全度の高い【3ピン】を切っても、イーシャンテンではなくなるものの四暗刻の道は残る。また、このあと【8マン】【5ソウ】のどちらか1枚勝負で、テンパイ復活の未来もある。

ということで、【中】【3ピン】を切る選択肢もあるが、【5ソウ】を押した方がいい、というのが私の結論である。

みなさんはどう思われただろうか。

そして、実はこの場面より、このあとの判断の方が、私には引っかかっていた。

次巡、【5マン】をツモって【5ソウ】を合わせ打ちしたあと、

たろうから【中】が出た場面のことだ。

茅森は、

スルーした。

これはポンする方がいいだろう。

先ほどは、押してイーシャンテンの牌姿での判断だったが、こちらはポンテンである。出アガリなら7700で、ツモれば三暗刻もついて4000オール。これならドラといえども切る価値は出てくる。テンパるために、1枚押しで済むのも大きい。

インタビューであったように【6マン】【3ピン】という待ちをネックと見ていたのと、出ていくのがドラであること、さらには鳴かずともテンパイしていた部分が引っかかっていたのかもしれないが、ここは切り替えて前に出るのが良かったように思う。

この2巡後に、

【6マン】を猿川が切る。

もし、茅森がリーチに一発で【5ソウ】、テンパイで【8マン】と押していた場合は、この【6マン】で出アガリを決めていたことだろう。

結果が見えてしまうのが、麻雀の辛いところだ。

さて、どうしても見る側は影響されてしまうが、「その場の判断」と「結果」はある程度切り離さないといけない。

手に価値があれば押す判断をして、結果的に放銃することは仕方がないのである。

例えば、この日のオーラスは、

大接戦の状態で、上家のリーチに一発で【3ソウ】を勝負し、

放銃して茅森はラスになってしまったが、これは本当に責めようがない。放銃になっても【3ソウ】が正着だ。

この試合が終わり、

全体の3分の2が過ぎようとするなかで、

フェニックスは9位になってしまった。

だが、窮地に立ったことで、選手にはむしろ火がついたように見えた。

それは、

第2試合での魚谷の戦いぶりに、鬼気迫るものがあったからだ。

まだ3分の1の32試合が残っている。勝負はここからだ。奮起に期待したい。

熱を帯びた闘牌で、フェニックスが羽ばたくことをサポーターは熱望している。

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