そうなるとは最大でも2枚しか山にいないことになる。
実際はと持っていて、を引けばタンヤオやのノベタンが選択できる形で、は持っていなかった。
2つ目は親番の猿川の仕掛けだ。
猿川はこの局、積極的に仕掛けていた。
6巡目、白鳥がツモ切ったをカンチャンでチー。
次巡、をペンチャンでチーする。
役はダブバック。2つ鳴いてイーシャンテンで、Mリーガーの中にはこの仕掛けをやらない選手も多いと思う。
画面越しに見ると非常に苦しい仕掛けに見えるが、白鳥から見た印象はどうだろうか?
白鳥目線だと、が4枚見えていることから一通の可能性もなく、役はダブかに絞られている。
実際はバックなのだが、・どちらも場に出ておらず暗刻になっている可能性も捨てきれない。
そうなるとリャンメン待ちの5,800~12,000点の手が出てきても何ら不思議ではなく、中途半端な手では押しにくい。
内川の切りから自身の待ちに不安があると読み、仲林の先制リーチと親の2副露に割り込む程ではないと判断し役無しのダマテンとなった。
トップ目であることを考えると納得の判断に見えるが、結果として一番先に顔を出したのは白鳥のアガリ牌のだった。
12巡目に内川がをツモ切る。
内川も勝負手をテンパイしているため、白鳥がリーチをかけたとしてもツモ切っていただろう。
この局トップだった内川の満貫の出アガリがなく、ラスだった仲林の放銃も無かったとしたら、その後の展開も全く別のものになっていた可能性が高く、試合の展開を決める大きなポイントだったように思える。
そのポイントの発端は猿川の仕掛けから始まっている訳だが、猿川は以前、noteでMリーグで成績を残している選手の特徴を分析していた。
URL:https://note.com/saryuru/n/n6b5d1a81d7c3
URL:https://note.com/saryuru/n/n388ace09dc7e
その特徴を記事の中の言葉をそのまま使って表現すると「わがままな麻雀」を打っている選手だと言う。
わがままな麻雀を具体的に言うと、仕掛けた他家に動じず手を進めたり、動じず手を進めることで逆に他家に対応させるような麻雀だ。
今期、Mリーグに初参戦となった猿川だが、様々なやり方で主導権を握ろうとする局面が多い。
今回の東2局の仕掛けもそうで、アガリには向かいつつも、どちらかといえば他家にプレッシャーをかけてやりにくくする目的の方が強いのではないだろうか。
仲林からリーチが入り、内川がテンパイしてを切ったタイミング。
猿川はをポンすれば・待ちのテンパイが取れたが、猿川はこれを見送った。
リーチの現物ではないを切ってきた内川を警戒した面もあると思うが、プレッシャーをかけることを重視した仕掛けだったため、リーチが入ったことで方向転換したように見える。
仲林の待ちは単騎だったので、猿川がポンしていると放銃していたことになる。
猿川の選択次第で、仲林・内川・白鳥の3人にアガるパターンがあったと思うと興味深い。
東場は苦しい展開だった猿川だが、南場の親番で満貫を2回ツモり、2着で終局した。
これまで勝負手がアガれず苦戦を強いられてきた猿川だが、ようやく風向きがかわったかもしれない。
ただ、猿川の麻雀の面白いところは今回の対局で見せてくれたような手が悪いときにいかにして主導権を握るか、その引き出しの多さにあると考えている。
長いレギュラーシーズンも折り返し地点を過ぎた。
これから見せる猿川の逆襲の中で、主導権を握るためのどのような引き出しを見せてくれるのか、非常に楽しみでならない。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke