千両役者の“堪忍五両” 内川幸太郎が目指した 我慢の先【Mリーグ2023-24観戦記 1/18】担当記者 #後藤哲冶

内川が下した決断は、【8ソウ】はおろか【7ソウ】も切らない、オリ選択。
醍醐の待ちは【4ソウ】【8ソウ】シャンポン。内川が【8ソウ】を勝負していれば、8000点の放銃となっていた。
第1試合の堀同様、ここは我慢。

内川を嘲笑うように、直後に引いてくる【5ソウ】
【7ソウ】と来る順番さえ違えば、内川の2000オールのアガリになっていた牌だ。

ここは、ラスト1枚になっていたドラを引きアガった伊達が、2000、4000の加点。内川は更に親被りで4000点の失点となってしまった。

第2試合は、東4局へ。

ドラドラ赤の勝負手が入ったたろうの選択が面白い。
6巡目この牌姿からたろうが切ったのは――

なんと【1ピン】【3ピン】【6ピン】の受け入れこそ消えるが、この手はメンゼンでアガるのは困難と判断。
タンヤオを確定させ、鳴きに重きを置いた一打。

醍醐から出たドラの【3ソウ】がポンできる。
これで、当初の予定通りのイーシャンテンだ。

中盤に、親の伊達から火の手が上がる。
絶好のカン【6マン】を引き入れて、迷いなくリーチ宣言。待ちは【3ピン】【6ピン】待ちだ。

その直後、たろうも絶好のカン【5ソウ】を引き入れた!
8000点のリャンメンテンパイ。こちらもまったく迷わずに【2マン】を切り飛ばす。

内川にもテンパイが入った。
がしかし、これはドラも赤も無く、待ちも悪い。通っている【4ソウ】を切って、内川はカン【7ソウ】の役無しテンパイに構えざるを得ない。

そしてなんと最後方から、醍醐が最高の【6マン】を引いて追い付いた。
【8ソウ】を叩ききって、【3マン】【6マン】【9マン】の三面張リーチへ打って出る。これで、全員テンパイ。

がしかし、当然一番分が悪いのは内川だ。
持ってきたのは、たろうがポンしているドラの【3ソウ】
当然打てない。ここは打【8ソウ】で勝負の舞台から降ろされてしまう。

ラス目で、一番勝負したい立場なのに、勝負できる手材料にならない。
内川にとってはもどかしい展開が続いていた。

この局は、たろうが【9マン】を一発で掴んでしまい、醍醐へ3900の放銃となる。

南3局

内川がラス目のまま、南場の親番を迎えることになってしまった。
この道中も、1000点のかわし手のテンパイが入ることこそあったものの、そのテンパイもリーチに対してオリの選択を強いられていた。
我慢に我慢を重ねて、ようやくやってきた親番。

4巡目にペン【3ソウ】を引き入れた内川。ここでターツ選択。
枚数では【2ピン】【5ピン】【4ソウ】【7ソウ】が共に1枚見えで残り7枚だが。

内川が選んだのは、【7ピン】【8ピン】のターツだった。
下のターツは全て三色の可能性が残り、ソーズは一気通貫イーペーコーなどが残る。
枚数には目を瞑り、打点が高くなる可能性を最大限に残した選択。

巡目が進んで、ここで【4ピン】引き。
ソーズには狙い通りイーペーコーの可能性が残っているが

ここはテンパイ枚数を最大にする【6ソウ】切り。
先ほどとは違い、【4ソウ】【7ソウ】が自分の目から3枚見えてしまった。
ここは、早い先制リーチを逃さないような一打。
一見裏目の【4ソウ】が、タンヤオ三色への渡りになっているのも大きい。

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