千両役者の“堪忍五両” 内川幸太郎が目指した 我慢の先【Mリーグ2023-24観戦記 1/18】担当記者 #後藤哲冶

千両役者の“堪忍五両”
内川幸太郎が目指した
我慢の先

文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2024年1月18日

この日の第1試合。サクラナイツ堀慎吾が見事なアガリをもぎとり、4着だったところから、価値ある2着浮上を決めた。

試合を通して手が入らず、じっとこらえて堪えて、そして最後の親番でつかみ取った2着。

そんな堀の活躍もあり、サクラナイツは現状かなり好位置につけている。
積み重ねたプラスは300を超え、現状トップのパイレーツに迫る勢いだ。

しかしその中で、ただ一人個人成績マイナスで苦しむ男がいた。

内川幸太郎
サクラナイツのドラフト1位指名であり、チームの花形でもあるこの男が、この勢いを途絶えさせまいと、今宵も勝負の舞台へと足を踏み入れる。

1月18日 第2試合

東1局

6巡目、西家に座る内川の手に、ドラの9sが舞い込んだ。
これで、チートイツのイーシャンテン。

ここで内川は4m【4マン】切り。
こうしておけば、後々西が暗刻になった時や、【1ソウ】【4ソウ】を引いた時にもう一度メンツ手に戻る選択を残すことができる。

伊達のリーチが入った直後に、【2ピン】を引き入れてチートイツドラドラのテンパイ。
迷うことなく内川は【4ピン】を切っての【1ピン】単騎リーチを敢行。
これをノータイムでできる事が内川の強み。
【4ピン】を通したので、スジで端牌の【1ピン】は、リーチ者の伊達以外からも出アガリが狙える待ちだ。

が、その狙いの【1ピン】は伊達の雀頭だった。
ここは4対1のめくり合いに敗れ、内川が伊達への放銃。
2000点の移動で、第2試合は幕を開けると。

続く東2局も、この形から出て行った【2ピン】が、たろうのダマテンに捕まってしまう。
2600の放銃で、内川は2局連続で点棒を失う展開に。

打点こそ高くないものの、2局連続放銃で少し内川の表情が曇る。
そうしてラス目で迎えた、大事な親番。

内川はこの形から打【9ソウ】
タンヤオを確定させつつ、発をポンした醍醐に高いソーズを先に払ってしまおうという柔軟な一打だ。

巡目が深くなった後に、カン【7マン】を引き入れてテンパイ。
しかしとっくの昔にそう簡単な状況ではなくなっていて。

醍醐が明確にソーズの仕掛けで、【2ソウ】は通っていない。
伊達がカン【7ピン】を仕掛けてから、【南】のポンで打【5マン】としている。

それでも、内川はこの【2ソウ】を押した。
醍醐はソーズ123を仕掛けた後に、【3ソウ】【6ソウ】の切り順。
【6ソウ】空切りのケースでの単騎待ちでしかほぼ当たらないと読み切った。
これで【4ソウ】【5ソウ】のテンパイを入れることに成功。

次に持ってきたのは、更に通っていない【7ソウ】
だが、【8ソウ】を切れば、タンピン高目イーペーコードラ1の勝負手だ。

内川の鋭い眼光が、河全体を何度も行き来する。
醍醐の仕掛け、伊達の仕掛け。自分のアガリがあるのか、【8ソウ】は通るのか……。

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