予想通りに亜樹からのリーチを受けて、ドラを重ねたこの局面。凡人は2切れの
を切って、形をキープするが……
この段階で
切り。和了りへの未練を断ち切る現物抜きの後がすごかった。
を引いて、二枚切れの
を選ばずに中筋の
切り!
亜樹のリーチが
対子落とし・
対子落としと挟んでいることから単純な放銃形は薄いと判断してのこの一打。そうまでして残したかった
の理由は……
来そうな親番、茅森への受け駒だ。
真っ直ぐ字牌を切った後に![]()
と手出しで余っている親が来る確率は十分高い。
正に未来を見てきたかのような一打で一発目を安全に回避した後、手詰まりは親に安全な
を選ぶ。
一見すると二人に中筋の
が安全そうだが、そこは多井。茅森が![]()
と多井や園田に安全な牌をツモ切ってまで宣言牌の
を残した意味を見過ごすわけがない。入り目の
すらもセーブしきって、ともすれば放銃になっていてもおかしくないこの局を無事故で終えきった。
四戦連続多井隆晴。本人からすればいずれもパーフェクト・ゲームでこそなかったが、終盤の条件戦開幕を1321の100ポイント近く上乗せで迎えることができた。
ボーダーとの差は大きくなったが、当然目指しているのは二度目の優勝のみ。
ともすれば多井の5連闘目もあるだろうか。本人の気の済むパーフェクト・ゲームが出るのが、今からとても楽しみだ。
麻雀というゲームに絶対王者は存在し得ないが……
仮に絶対を見せられるとしたら、この男しかいないだろうから。

日本プロ麻雀連盟所属・35期後期生。麻雀と着物と民俗学が大好きなプロ雀士。















