4か7か…、牌に翻弄された #茅森早香 の選択__【Mリーグ2023-24観戦記 3/18】担当記者 #江崎しんのすけ

1巡後、茅森がツモ切った【5ソウ】を菅原がポンして打【2ソウ】

これで菅原にもテンパイが入った可能性は高い。

3者のめくり合いとなったが、14巡目に【1ソウ】を引いた多井が撤退。

茅森には通っている【1ソウ】だが、菅原の【5ソウ】ポンした牌の打牌が【2ソウ】になっている。【3ソウ】が4枚見えているにも関わらず菅原は【2ソウ】を持っていたため、【1ソウ】と何かのシャンポン。多井の目からはドラの【東】が見えていないので【1ソウ】【東】のシャンポンなどを警戒してのオリだ。

茅森と菅原、後が無いチームを背負った2人のめくり合いとなった。

残りツモ2回となった17巡目、茅森が引いたのは菅原に通っていない【7ピン】だった。

茅森が視点で河を見ると、菅原の待ち候補はだいぶ限定される。

まずソーズは【5ソウ】が4枚見えており、リャンメン待ちのパターンは残っていない。次にマンズは一応【3マン】【6マン】だけ否定されていないものの、【4マン】【5マン】が3枚づつ見えているいわゆるダブルワンチャンスなので可能性としては低い。

残るはピンズだが、ピンズは下記の3つが残っている。

【3ピン】【6ピン】待ち
【4ピン】【7ピン】待ち
【5ピン】【8ピン】待ち ※茅森と同じ待ち

テンパイを維持するためには【4ピン】【6ピン】【7ピン】のどれかを切らなければならない。どれも非常に厳しい牌ではあるが、茅森の選択は打【4ピン】だった。

【3ピン】【6ピン】【4ピン】【7ピン】の比較は、微差ではあるものの自身で【6ピン】を2枚使っている分【4ピン】【7ピン】の方がやや安全に見える。

では【4ピン】【7ピン】どちらを切るべきか。【1ピン】が既に切れているのでリャンメンで当たるパターンはどちらも【4ピン】【7ピン】しか無い。

ただ【4ピン】は場に一枚切れていてポンの声がかかっていないためシャンポン待ちのケースは少なく、菅原が序盤に【2ピン】を切っているのでカンチャン待ちも無さそうだ。

対して【7ピン】はシャンポン・カンチャン待ちどちらも否定されていない。

とはいえ菅原の第一打は【9ピン】なので、【7ピン】のシャンポン・カンチャン待ちも可能性としては低く、【4ピン】【7ピン】どちらも大差無い選択と言えるだろう。

それでも茅森は細心の注意を払い、より安全な【4ピン】を選択する。

この【4ピン】は菅原に無事通過する。
通過はしたものの、切られた瞬間、最悪の未来が頭をよぎる。

実況の日吉プロが静かに言った。

「これで【3ピン】が止められなくなりました」

菅原の待ちは【3ピン】【6ピン】待ちだった。
【6ピン】は山に無かったが【3ピン】が3枚残っており、茅森のアガリ牌【8ピン】は山に1枚だけだった。

先ほどの茅森の選択で、もし【7ピン】を切っていたら次に【3ピン】を引いてしまっても【7ピン】をもう一度切ればテンパイを維持することができる。

しかし【4ピン】を切ってしまった以上、テンパイを維持するためには【3ピン】をツモ切るしかない。

当然【8ピン】が先に顔を出すこともあるし、残り2回のツモで【3ピン】を引かなければいいだけの話である。

しかし、この局面では麻雀の残酷さが色濃く出た。

 

茅森の次巡ツモは無情にも【3ピン】

ツモ切った【3ピン】にロンの声がかかる。
菅原が【南】・ドラ2・赤の8,000点を茅森から出アガる。

もし先に引いたのが【7ピン】ではなく【3ピン】だったら、【7ピン】【7ピン】を選択し放銃には至らなかったように思う。
勝負の1戦、それも勝負の親番で牌の並びは茅森を味方せず、苦しい結果となった。

この親番以降、茅森は高打点に放銃する展開が続き、箱下のラスとなった。

トップが欲しかったフェニックスにとって、痛恨のラス__

これで風林火山とのポイント差は350ptとなり、残り6試合での通過条件は6連勝、もしくは5勝かつ風林火山がスコアをマイナスするという非常に苦しい戦いとなった。

レギュラーシーズンは泣いても笑ってもあと10日で終了する。

牌の気まぐれと、打牌に込められた意思が作り出すドラマが、たとえどんな結末を用意していようと、最後までひたむきに上を目指すチームの勇姿を、今年も最後まで見届けたいと思う。

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