1巡後、茅森がツモ切ったを菅原がポンして打
これで菅原にもテンパイが入った可能性は高い。
3者のめくり合いとなったが、14巡目にを引いた多井が撤退。
茅森には通っているだが、菅原のポンした牌の打牌がになっている。が4枚見えているにも関わらず菅原はを持っていたため、と何かのシャンポン。多井の目からはドラのが見えていないのでとのシャンポンなどを警戒してのオリだ。
茅森と菅原、後が無いチームを背負った2人のめくり合いとなった。
残りツモ2回となった17巡目、茅森が引いたのは菅原に通っていないだった。
茅森が視点で河を見ると、菅原の待ち候補はだいぶ限定される。
まずソーズはが4枚見えており、リャンメン待ちのパターンは残っていない。次にマンズは一応だけ否定されていないものの、・が3枚づつ見えているいわゆるダブルワンチャンスなので可能性としては低い。
残るはピンズだが、ピンズは下記の3つが残っている。
・待ち
・待ち
・待ち ※茅森と同じ待ち
テンパイを維持するためにはのどれかを切らなければならない。どれも非常に厳しい牌ではあるが、茅森の選択は打だった。
との比較は、微差ではあるものの自身でを2枚使っている分の方がやや安全に見える。
ではとどちらを切るべきか。が既に切れているのでリャンメンで当たるパターンはどちらもしか無い。
ただは場に一枚切れていてポンの声がかかっていないためシャンポン待ちのケースは少なく、菅原が序盤にを切っているのでカンチャン待ちも無さそうだ。
対してはシャンポン・カンチャン待ちどちらも否定されていない。
とはいえ菅原の第一打はなので、のシャンポン・カンチャン待ちも可能性としては低く、・どちらも大差無い選択と言えるだろう。
それでも茅森は細心の注意を払い、より安全なを選択する。
このは菅原に無事通過する。
通過はしたものの、切られた瞬間、最悪の未来が頭をよぎる。
実況の日吉プロが静かに言った。
「これでが止められなくなりました」
菅原の待ちは待ちだった。
は山に無かったがが3枚残っており、茅森のアガリ牌は山に1枚だけだった。
先ほどの茅森の選択で、もしを切っていたら次にを引いてしまってもをもう一度切ればテンパイを維持することができる。
しかしを切ってしまった以上、テンパイを維持するためにはをツモ切るしかない。
当然が先に顔を出すこともあるし、残り2回のツモでを引かなければいいだけの話である。
しかし、この局面では麻雀の残酷さが色濃く出た。
茅森の次巡ツモは無情にも。
ツモ切ったにロンの声がかかる。
菅原が・ドラ2・赤の8,000点を茅森から出アガる。
もし先に引いたのがではなくだったら、→を選択し放銃には至らなかったように思う。
勝負の1戦、それも勝負の親番で牌の並びは茅森を味方せず、苦しい結果となった。
この親番以降、茅森は高打点に放銃する展開が続き、箱下のラスとなった。
トップが欲しかったフェニックスにとって、痛恨のラス__
これで風林火山とのポイント差は350ptとなり、残り6試合での通過条件は6連勝、もしくは5勝かつ風林火山がスコアをマイナスするという非常に苦しい戦いとなった。
レギュラーシーズンは泣いても笑ってもあと10日で終了する。
牌の気まぐれと、打牌に込められた意思が作り出すドラマが、たとえどんな結末を用意していようと、最後までひたむきに上を目指すチームの勇姿を、今年も最後まで見届けたいと思う。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
Twitter:@EzakiShinnosuke