「お願い… 引いて」
雷電ユニバースの祈りが届いたのか、
11巡目に、本田は3つ目のアンコを手にしていた。
この選択も重要だ。息吹を感じるのは、生きているのは、どの牌なのか。
本田は、
に別れを告げた。
単純枚数はいずれも同じ。
ならば、を切っているのが大きかったのだろう。
リーチツモ三暗刻でも、一発か裏1でトップ。メンツ手の可能性もわずかに追ったのではないだろうか。
また、赤の存在も大きい。やに赤が重なれば、トイトイ三暗刻赤で、仕掛けてもツモでトップとなる。
「この手は四暗刻になるかもしれない」
そんな心臓が飛び出そうな状況でも、
本田は至って冷静に見えた。
火曜日の2試合と、この日の1戦目。レギュラーシーズン最終盤に、雷電は本田の3連投という策に出た。
瀬戸熊や黒沢、萩原を使わないのかと意外に思った方も多いのではないだろうか。スケジュールや体調面など何か事情があるのかもしれない。
ただ、この本田の面持ち、そして火曜日とこの試合の戦いぶりを見ると、任せた判断に間違いはなかったと思える。
そして、この3半荘で本田は大きく成長したことも、表情からひしひしと伝わってくる。
さて、この局も終盤に突入する中で、ある牌の行方に物語がゆだねられていることに気づいた方も多いのではないだろうか。
マンズに注目しながら見てほしい。
猿川も、
魚谷も、
浅見も、
そして、
本田も、が欲しいのだ。
そして、渇望されているは、山に残り3枚。
誰のもとへやって来るかで、運命が決まる。
次の手番で魚谷は、
を、安全牌のと持ち替えた。
捨て牌三段目に入ったことで、狙いを高打点からトップ逃げ切りへと切り替えていった。
フェニックスの望みをつなぐ、トップまであと少し。
次に手牌変化を見せたのは、
本田だ!!!
を引いたということは…
四暗刻単騎テンパイ!!!!!
とんでもない手が入った!!!
手牌に視線を送る本田。
の枚数は、先ほどから変わっていなかった。
つまり、残り3枚。役満の3枚待ちテンパイだ。
雷電サポーターは狂気にも似た歓喜に、
BEASTとフェニックスのサポーターはゾッと震え上がる寒気に、
身を委ねるしかなかった。
ドリブンズファンや他チームを応援している人も、激しい鼓動を感じただろう。
自分の意志と違うところで、心が揺れ動くのを感じる。
キー牌のは、
猿川のところへやってきた! リーチだ!