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堀慎吾の意志と戦術
文・渡邊浩史郎【金曜担当ライター】2020年10月9日
Mリーグ2020シーズン、開幕4日目。本シーズン最初の一週間が終わろうというところだが、皆さんいかがお過ごしだろうか?
私はというと今期もやはりどっぷりとMリーグに浸かり一試合の結果、一牌の後先に一喜一憂する日々だ。このご時世、そんな日々がまたやってきてくれた事に感謝するとともに、観戦記ライターとして今期も盛り上げ、
「“もっと”この熱狂を外へ」
の一助になれればと思っている。
さて、本日第1試合に集った四者は、まさに今のMリーグの熱狂を表す4人と言っていいだろう。
現雀王で、現状Mリーグ2020唯一の新規参戦、サクラナイツの堀慎吾。今一番Mリーグで注目を集めている選手といっても過言ではない。そんな男の初登板だ。
U-NEXTパイレーツ・朝倉康心、渋谷ABEMAS・日向藍子両名はコロナ禍のオフシーズンにもインターネットを通じて活発に活動し、多くの層に麻雀、Mリーグを広めていた。今季から、彼らを通じてMリーグを見る人も多いのではないだろうか。心なしか(?)見た目もモデルチェンジといった具合だ。
そして2019の熱狂を一番担っていたといっても過言ではないTEAM雷電の黒沢咲。
注目の4名が集まった対局。注目ポイントを早速見ていこう。
【東1局】
開局、先制したのは朝倉。
赤が一枚のカンリーチ。
これに困ったのが親番の堀。
完全安牌がない手牌。堀はここから……
を切った。
これが朝倉にリーチ・一発・赤の5200の放縦。
ともすれば、ただの降り打ち放銃にも見える。しかしより安全そうに見えるを切らなかったのはなぜだろうか?
一つは黒沢へのケアだろう。第一打役牌から→と切ってきている黒沢は手が速そう。今後押し返してくることは十分考えられる。ならば先に黒沢に危険なほうから打ち出そうという考えだ。
そしてもう一つの理由は朝倉に対して、の打点のある形に当たりにくいということであろう。
もう一度朝倉の河を見てほしい。→の切り順になっているのがわかる。
仮にの形で当たるとすれば、からを使えない可能性があるを切っていることになる。これはかなりのレアケースではないだろうか。
実際には今回の朝倉の手牌はチャンタが見える形であったためにレアケースの切り順になっていた。
堀も少し形を確認して、
すぐにいつもの表情に戻っていた。自身Mリーグ初戦の親で降り打ち一発放銃になったとはいえ、そこにはまったく緊張の様子は見えない。堀を初めて見る人でも堀の麻雀への集中具合が伺える、堀の人となりを知れる一局になったのではないだろうか
【東2局】
この局は黒沢が魅せてくれた。
まずはこの両面外し。チャンタや対子手の高打点を見た一打だ。こうすることで後に安全牌を含んだ手の進行がしやすいというメリットもある。
とはいえ両面2つに1メンツのこの手、明らかに現代セオリーの打ち方ではない。Mリーガーの中だけで考えても黒沢オリジナルではないだろうか。
その後を引き、このテンパイ。しかしこの赤1テンパイをダマ。
そこに親の朝倉からリーチが飛んでくる。高め三色の超勝負手だ。
ちなみにこの局朝倉は3巡目。この牌姿からを打ち出した。しかもこれがちょうど日向がを重ねるのに間に合っている。これも朝倉オリジナルの安パイ残しバランスが成した技のテンパイといっていいだろう。
これを受けた黒沢。を引いてきて……
切り!!しかもリーチ!!
日向も追いついて追っかけリーチを打つも……