松本吉弘、個人の栄誉よりも大切なもの【Mリーグ2023-24観戦記 3/22】担当記者 #東川亮

そして寿人と2着-4着の並びを作り、そのまま試合を終えられれば、順位点の40ポイント差でABEMASが麻雀格闘倶楽部をかわして4位に浮上する。松本は、そのチャンスを逃したくなかったのだ。

絶対に。

解説の朝倉康心は、このプレーを「犠打のよう」と評した。

自らの栄誉の可能性を犠牲にし、チームにとっての最善を尽くそうとする、滅私の選択。

松本が何に一番重きをおいているか、よく伝わってくる。

南4局は岡田から2000点を出アガリ。

狙い通りの並びで試合を終えた。

松本はチームから「MVPを狙ってこい」と送り出されたという。であればトップを狙ってわがままに打ち、多少大振りになったとしても、チームからとがめられるようなことはないはずだ。しかし、それでも松本は個よりチームを優先した。

もちろんMVPをはじめとする個人タイトルは素晴らしい栄誉であり、全選手が狙っているだろう。チームも可能性がある限り、それを後押しする。ファンだって、推しの選手がタイトルを獲ればうれしいはずだ。

だが選手たちはあくまで、個人の栄光よりもチームでつかむ栄冠を目指して戦う。それこそがチーム戦であるMリーグの醍醐味であり、その志は尊い。

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