決めたラスト一回の その先の未来を── 瀬戸熊直樹が魅せた スーパープレミアムナイト【Mリーグ2023-24観戦記 3/26】担当記者 ZERO / 沖中祐也

瀬戸熊が最後のツモに手を伸ばす。

瀬戸熊の大剣は空を切った。

次の1局、ちょっとした事件があった。
まずは瀬戸熊の手牌。

瀬戸熊はここから【8マン】を切った。
【3ソウ】引きのイーペーコーテンパイよりも、マンズが伸びてのイッツーを意識した選択である。

イッツーにこそならなかったものの、【6マン】【9マン】待ちでリーチを敢行。
直後のことである。

親の高宮に国士無双のテンパイが入る! 待ちは瀬戸熊が3枚切っている【1ピン】だ!
この瞬間なら誰もが切る局面である。

だが次巡、高宮が切った牌に3人が凍りついた。

瀬戸熊のリーチに対して無筋の【2ソウ】
あまりにも早くて、静かな【2ソウ】だった。

(高宮さんはほぼテンパイか)

瀬戸熊もチラっと目をやる。

この緊急事態に難しい選択を迫られたのが大介である。

ドラは【8ピン】で赤も2枚保有しており、通常なら大チャンス手なのだが、国士無双テンパイが3人の共通認識の中、この手牌はかなり微妙だ。
肝心の役牌が持たれている可能性が高い上、打ち出されることも減るからである。

だが大介は…

目をつぶって【發】を打ち出していった。
【白】【發】生牌【發】を選んだ理由は左手に近かったからとかそんな理由だと思われる。

この踏み込みが

実を結ぶ。
チーしてリーチの瀬戸熊からロンアガリ。
緊急事態回避に成功したのだった。

さて、国士テンパイの余韻が残る中、瀬戸熊が今シーズン最後の親番を迎える。

まずは高打点含みのリーチを打つも流局。
そして1本場
瀬戸熊がここから【發】をポンした。

こんなバラバラからポンする瀬戸熊を見たことがない。
四の五の言ってられない。この親は絶対に手放せないのだ。

ペン【3ピン】もチーして…

なんとかテンパイにたどり着くことができた。
しかし無情にも2人からリーチが入る。
そのリーチを受けて持ってきたのが2人に対して危険な…

【6ピン】だったが

スパーン! とトルネードツモ切り!

待ちとか点数じゃない。
この親は行き切るしかない。
雷電にはその道しか残されていないのだ。

次にツモってきたのは…

【6ソウ】
これも迷うことなくカンだ。

震える手で新ドラをめくり

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