あの饒舌な園田賢も黙る「高め三色」メソッド 担当記者 ゆうせー【Mリーグ2023-24セミファイナル観戦記 4/16】

次に【4ソウ】を「手から切る」ことで、【4ソウ】周りもケアさせつつ、「続けての中張牌手出し」を他家に見せつけ、「生半可な手では戦えない」と相手に思わせる戦略をとっているのである。たしかに、【4ソウ】をツモ切るとその分手出しの回数は減ってしまう。

そして、

やりづらそうな他家を横目に、園田は一人テンパイでの流局をもぎとることに成功したのだった。

見事な立ち回りだ。

だが、これは園田も語っているように「視聴者が違和感を覚える」選択であることは間違いない。

なぜなら、

手だけを見たら、打【4ソウ】一択レベルの場面だからだ。

Mリーグにはこういう場況や対戦相手レベルを含めた「その場限りの正着を追う」選択が頻出する。

ここでも、

【2マン】【5マン】が悪くない場合など、河によっては園田も【5マン】を残すに違いない。

また、そもそも【7マン】【5マン】に反応してくれるメンツではなければ、こういった戦略をとる価値は下がってくる。手出し回数を見て判断する打ち手がいること自体、Mリーグがある意味特殊な環境だとも言える。

大事なのは、

「MリーグはMリーグで、プレイヤーの思考や戦略、駆け引きを含めて麻雀観戦を楽しむこと」

そして、「我々が打つ様々なフィールドで、意図も分からずに形だけMリーグの真似をしてはいけないと考えること」

だと私は考える。

見る雀と打つ雀はどちらも楽しいものだが、混ぜると危険なこともある。この手で、常に打【5マン】が正解になるわけはないのだから。

さて、いよいよ本題である「三色」の局に入る。

ここでは、今述べた「Mリーグオリジナル」の考え方だけでなく、「我々が打つ麻雀でも使える」思考もミックスされて、選択に繋がっているのが面白い。

東3局4本場

「完璧だ!!」

という実況松嶋桃の声が、

【赤5ソウ】ツモの瞬間に響き渡った。

これを大トップ目の園田は、

ダマに構えた!

大事なのは、

終盤であることと合わせて、「ダマならツモ切ってくれる人が2人以上いる」のが重要である。

ピンフドラ赤で高め三色。

リーチをしたら、安めでも5800→12000に、高めなら12000→18000の手になるので、序盤なら文句なくリーチの手だ。

だが終盤になったここでは「アガリ率を下げない」ことが大事である。

先に述べたように、ここは対面の堀と下家の日向が【2マン】をすでに切っている。マンズ自体も両者の河に安く、ダマなら【5マン】の出にも期待が持てる状況だ。上家の寿人でさえ、【3マン】が早いので【2マン】は要らなそうだ。

だが、ここでリーチをするとどうなるだろう。もちろん、勝負にきて打ってくれるパターンもあるが、逆に言えば勝負する手でなければ止められてしまう。

「ダマならスンナリ出ていたものが、リーチによって押しとどめられてしまう」

のが、「2人以上切ってくれそうな人がいる」ときには大きなマイナスとなるのである。

もちろん、打点にもよる。ここでは中打点以上が確保されているのも大きい。また、ここでは園田が大トップ目だったこともあるが、このポイントは我々も覚えておいて損はない、使える思考である。

かくして、ダマに構えた園田は、

日向からのリーチが入ってもなお息を潜め、日向から高めで出アガることに成功する。

次局も、

丁寧に作り上げたタンヤオドラ赤、高め三色の手を、

ダマテンに!

ここも、【2ソウ】を切ってくれる人が「二人いる」中打点以上の手なのが、ダマにする主たる理由だ。

しかも、園田はトイツ落としをした直後なので、

「2枚目の【8ピン】を切ったときに有効牌を引いていない限り、園田はテンパイしていない」

と他家が読んでくれるのもある。

この手を、

寿人から345三色となる【5ソウ】で出アガり、12000は13500をさらに加点。

この三色のアガリ二発が物を言い、


南場に堀や寿人の猛追を受けるも、リードを保って園田が逃げ切り。

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