文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年4月29日
第2試合
東家:二階堂瑠美(EX風林火山)
南家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
「2つ、難しい局面があって__」
対局後のインタビューで試合を振り返る際、松本はそう切り出した。
1つ目は南2局1本場。
4巡目、早くも松本にテンパイが入った。
を切れば待ちの平和、を切れば待ちのタンヤオに取ることができる。
普通であれば、を切って待ちに取る。
が2枚切れているので、見た目枚数もの方が多く、赤がある分ツモったときに満貫になる可能性が高いのもだ。
ただ、点数状況が判断を難しくしている。
渋谷ABEMASは、この試合を含めた残り3戦で、4位のドリブンズとのポイント差255.1ptを埋めなければファイナルに進むことはできない。
はっきり言って、3連勝しなければ逆転は難しいだろう。
この試合、松本は何としてでもトップを持ち帰りたかった。
トップの瑠美との点差は33,200点。
松本は親番が残っているとはいえ、安い手で局を消化するのは得策とは言えない。
仮に4mを切ってリーチをした場合、最低打点は出アガリ2,600点となる。ただ、もちろん上手くいけば赤5mツモなどの満貫ルートはある。
普段打牌スピードの早い松本が、長考に入った。
長考の末、松本が出した結論は打のテンパイ取らずだった。
こうしておくことでマンズは・、ソーズは・を引けばタンヤオ平和を確定させることができる。
またドラのは手で使うことができないが、赤ドラは全部使うことができるため
赤ドラを1枚引いてテンパイできればツモ裏で跳満まで見込むことができる。
はフリテンだが、元より打点が欲しく出アガリよりツモが嬉しいため問題ない。
松本のツモる指先に、力が入った。
しかし、このリーチは不発に終わる。
松本と同じくトップが是が非でも欲しい親番の高宮が松本よりも先にテンパイを入れており、松本とのめくり合いを制す。
松本から高宮へ5,800点の放銃となった。
この局面、何度見ても難しい。
待ちでリーチをかける人も多そうだが、松本のように少しでも打点の高いテンパイに組み替える選択も当然有りだろう。
結果として放銃になってしまったが、この松本の打点意識が次局は功を奏す。
続く南2局2本場、堀が高目三色の待ちで先制リーチをかける。
直後、松本もテンパイを入れる。
ドラの西を切れば、平和ドラ1の待ちテンパイとなるが、少しでも打点を上げたい松本は無筋のを切って単騎でリーチをかける。
待ちの見た目枚数は6枚から2枚へ大幅に減ってしまうが、単騎はツモ裏で跳満になる。
は山に残り1枚、堀の待ちは残り4枚だったが
なんと先に顔を出したのは。
堀が西を掴んで、松本へ8,000点の放銃となる。
待ちは実は山に1枚しか残っておらず、もし待ちを選択していたらアガれたかどうか分からない。