「シャーレを掲げている姿を心に焼き付けてもらうためにも、優勝したい」
仲林の心意気が、優勝を後押ししたようにも思う。
豪快なイメージもある仲林だが、
優勝を決めた瞬間のピースが、どこか控えめだったのが印象的だった。
唯一の女海賊、瑞原明奈は、今季3年連続でMVP争いをする(レギュラーシーズン+378.4)だけでなく、
ファイナルシリーズでも2トップを挙げ、チームに多大な貢献をした。
ところで、Mリーグが始まって以来、番組のコメントなどで、瑞原ら女流プロの活躍に対して、勝っても勝っても、
「運がいいから」
と片付けられてしまうのを度々目にする。
本人たちにも否応なく届いてしまうことがあり、心を痛めているだろうが、それを跳ね返して瑞原は毎年結果を出している。
一体どれほどエネルギーのいることで、どんなに素晴らしいことか。メンタルの上でも、瑞原を本当に尊敬する。
戦術としては、いけると見た局はゴリゴリ門前リーチに持ち込み、そうでない局は間合いを図りながら慎重に立ち回る。そんなゴリラ麻雀スタイルが大活躍したシーズンであった。
また、見ている我々は普段忘れてしまいそうになるが、瑞原は家では「お母さん」だ。
控え室でのショットはいつぞやのミズハラちゃんねる配信中にカメラマンさんが来て撮られていた時のものです🤭
サンプルで頂いたこちらは「お小遣いで買う」と息巻いていた8歳娘ちゃんにプレゼントします🎁 https://t.co/1NnbTAjJBN pic.twitter.com/JjK2iKV3rx— 瑞原 明奈 (@akn19mj) May 16, 2024
母親のカードを欲しがっている娘さんを思うと非常に微笑ましい。家族の存在が瑞原の強さの秘密でもあるのだろう。
そんな瑞原は、自身のセミファイナル最終戦でトップをとったとき、
優勝した2019-2020シーズン最終日に、石橋が決めていたのと同じガッツポーズをしていた。
シャーレの前で、
「Piratesクルーのみなさんに、本当に悲しい思いや苦しい思いをさせてきてしまったので、こうやって、やっと笑顔をお届けすることが出来て、それが本当に嬉しいです」
と語る瑞原の目には、涙が溢れていた。
そして、
「船長」小林剛。
レギュラーシーズンは調子が悪く、調子のいい他3選手に成績で遅れを取った。そんな中でもなお落ち着き払って打ち続けられるのが小林の強みだ。
変な言い方にはなるが、チームで誰か一人だけ調子が悪いなら、小林となるのが良かったように思う。他の3人なら、
「自分のせいで…」
となってしまうところを、小林なら普段通りに打つことが出来るからだ。
持ち前の鋼のメンタルで妙なプレッシャーを感じないで済む小林が、だんだんと調子を上げ、ファイナルではしっかりとプラスを持ち帰ったというのも流石の一言である。
また、昨シーズンにメンバーの色が大きく変わった中で、リーダーを務め続けることの大変さはあったかと思うが、それを感じさせない飄々とした立ち回りは実に小林らしいものだったように感じる。
そんな「麻雀サイボーグ」小林剛。本当は優しい人間だ。
残り4試合となった木曜日には、
「着てくるものが無かった」
と言いながら、以前のメンバーのシャツを身につけて、会場に入っていた。
また、以前には、
「まるで家族のようだった」
と小林が言っていた、朝倉と石橋にも、優勝インタビューで、
「私と瑞原を鍛えてくれた、朝倉、石橋の二人がチームを去ることになりまして、代わりに入った鈴木、仲林の二人が彼らと同じように活躍をしてくれて、無事優勝することが出来ました」
と触れていた。
クルーを始めとしたファンの方はもちろん、全方面への感謝の気持ちと、広い視野を持っている選手だ。
それにしても、優勝の瞬間を見比べると分かるが、