その麻雀は誰かのために 八つの思いのぶつかり合いを制し、株式会社ラクシア・菅原拓也が最強戦本戦へ

これをしっかりツモって、3本溜まった供託も回収、通過ポジションへと大きく前進する。

このまま任仁、愛内の勝ち抜けで終わるかと思われた。しかしオーラスに、もうひとつ山場が待っていた。ここまでアガリも放銃もなかった頼。

オーラスは満貫ツモ条件。まずはテンパイが入るが、【南】だけでは条件クリアに足りておらず、ダマテンを続行。なんとしても、三色に振り替わる【7ソウ】が欲しい。

捨て牌が3段目に差し掛かったところで、愛内が御崎の【9ソウ】をポン。後の御崎のハイテイをずらすと共に、頼のツモ番を1回飛ばす鳴きである。こういう鳴きはしっかりと考えておかないと反応しづらい。キャリアの長い愛内の経験値が分かる。

だが、この鳴きで頼に【2ソウ】が流れた。形の上ではアガリだが、もちろんアガらず、【2ソウ】を切ってフリテンリーチ。ツモでしかアガれないが、もとより愛内からの直撃は望めそうもないので関係なし。【7ソウ】ツモなら無条件、【2ソウ】でも一発か裏、ハイテイで条件クリア。

とはいえ、残り巡目も枚数も少ない。ラスト1巡、伸ばした手の先に─

勝ち上がりを決める、逆転の【7ソウ】があった。

最強戦ならではの、あまりにも劇的な、そして愛内にとっては残酷な結末。

それがもう一度、この先の決勝で繰り返される。

 

1位通過:任仁

2位通過:頼修広

 

【決勝卓】菅原拓也 柚花ゆうり 任仁 頼修広

揺れる振り子、極限状態が見せた幻影

予選卓を1位通過した任仁は、決勝卓でも存在感を発揮する。

東4局、親番の柚花が2つ鳴いてチンイツテンパイ。ピンズを2つ鳴いて余ったということで、さすがにここには軽々に勝負しづらい。

任仁も1シャンテン。しかし、ここはマンズの3メンチャンを残さない。狙いはリャンペーコー、ぶつけるなら打点的にも価値のある手を、という思い切った判断。

菅原もチートイツ【5ピン】待ちで粘っていたが、【2ピン】を引いてテンパイを崩す。この辺りの甘えない打牌選択は見事だ。

任仁も最後にテンパイ。

そして、頼からホウテイ【1マン】を捉え、柚花の連荘を阻止。初めての放送対局ということだが、全く物怖じせずに打ち回せている。

だが、任仁に落とし穴があった。南1局1本場、親番・頼の先制リーチにチートイツでテンパイしリーチをかけたが、暗刻からの【4ピン】切りがカンチャン待ちにストライク。しかもまさかの裏3で12000を打ち上げてしまうことに。しっかりと攻める姿勢を貫いた任仁だったが、ここで大きなビハインドを背負ってしまった。

トップ目で南3局を迎えた頼にカン【8ソウ】待ちのテンパイが入る。役はないが、アガれば残り1局、事実上柚花と1対1という有利な状況に持ち込むことができる。もちろんリーチの選択もあったが、ここはダマテンを選択。

親番の菅原もこのままでは終われない。【白】ドラドラの5800、高目なら12000というテンパイを入れる。

菅原が【白】を加カン。

菅原の打点もアップするが、頼にもドラが1枚乗った。

ソーズの上も場に多く見え始め、カン【8ソウ】待ちでそのままリーチもあったが、頼は【3マン】を引いてテンパイを崩す。まだマンズで組み替える余裕があると見た。

そこへ任仁も参戦。ピンフイーペーコードラ3確定のリーチ、高目【3ソウ】ツモなら倍満からという超大物手。やはり、ただでは終わらない。

局を制したのは菅原、2600オールで親番を連荘。この局でアガれなかったのは、任仁にも頼にも痛い。

そして、このアガリが菅原の逆襲へとつながっていく。

南3局2本場4巡目、菅原が愚形残りの1シャンテンを2シャンテンに戻すペン【7マン】ターツ払い。一見手は遅くなるが、巡目がまだ浅いことから、最速ではなく好形のテンパイを目指す選択だ。

最終的には【2マン】【5マン】待ちテンパイでリーチ。前巡の5pを残せば345三色の【3ピン】【6ピン】待ちになっていたが、それを今言っても仕方がない。ここはもう、アガれるかどうか。

テンパイの柚花から【2マン】を捉え、裏1で5800は6400。【3ピン】【6ピン】ではまだアガリがなかっただけに、結果的に大きなアガリとなった。供託2本も回収し、これで菅原が微差ながらトップ目に浮上する。

悔しい放銃となった柚花だったが、次局に鋭い選択を見せた。

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