【 #神域リーグ2024 第10試合観戦記】リーチの怖さと、強さを知った 怜悧な視線の先に“連覇”の二文字は見えているか【文 #後藤哲冶 】

だがまだ勝負は決しない。
まずはえるが【2マン】【5マン】【8マン】待ちの3面張でリーチへ行くと。

ここにドラが4枚入っていた緑仙が追い付く。
出て行ってしまうのは、えるの当たり牌、【8マン】

えるのアガリ。トップ目緑仙からの2600のアガリで、トップへと肉薄すると。

更に続く南3局、えるは【發】のポンから見事にホンイツのアガリを決め、8000点の加点。
これでなんと、僅かながら緑仙を上回った!
えるがトップ目に立って、第1試合はオーラスへ。

南4局

1500点を追いかける緑仙の配牌は……良いとは言い難い。
まずは【東】から切り出して、役牌の重なりもギリギリまで見る進行。

めいっぱいに手を広げていた緑仙に、嬉しい【7ソウ】ツモ。
これでイーシャンテン。【8マン】を切るとリーチできる受け入れは多くなるが、2枚切れのペン【3ピン】が心許ない。

ということで、ここは打【2ピン】を選択。
一度カーソルが行きかけた【1ピン】ではなく、【2ピン】を選んだのが素晴らしい。【3ピン】こそ2枚切れていたが、ピンズの下の場況は悪くない。
なら、瞬間の重なりが1枚でも多い【1ピン】を残すことが重要。
何故なら――

この【1ピン】引きでも、条件クリアのテンパイになるからだ……!
当然リーチ。出アガリでも、ツモでもクリア。
結果は――

緑仙が、見事ツモアガって。
初陣をトップで飾ることになるのだった。

2着に、える
トップこそ逃したが、南3局のホンイツ手順はお見事。
チームの調子も上向いてきて、これからが楽しみだ。

4着は桜凛月
ところどころ光る選択が見えたが、あの2p放銃が致命傷になってしまった。
苦しい戦いが続くが、良い内容で麻雀は打てているので、これからもその打牌を信じて続けて欲しい。

そしてトップを獲得したのが、緑仙

この試合、緑仙は3回のアガリ全てが、リーチによるもの。
そして、放銃に回ってしまった局も合わせれば、実に6回ものリーチ宣言をしていることになる。

覚えている方は、いるだろうか。
緑仙は去年の神域リーグで、何度もリーチを躊躇うシーンが見られた。
待ちが悪い時。打点があまり無い時。どうしても緑仙は自分の選択に自信が持てていなかった。

けれど、今日。
去年とは全く違う姿を見る事ができた。

それは、南2局、えるへの放銃となってしまった瞬間の事。
勝負手のリーチ宣言牌が阻まれ、2600の失点となってしまった直後。
それでも、緑仙は落ち着いていた。

「これロンでもしょうがなくて。これくらいなら全然良い。(この手が)実るかもしれないこと考えたら、全然リーチ行くわ」

結局、この精神面での切り替えが上手く働き、最後の逆転へと繋がっている。

緑仙はこの1年で、リーチの怖さと、強さを知った。
正しく知ることができれば、それは強力な武器になる。

ヘラクレスでの連覇に挑戦することができるのは、緑仙ただ一人。
緑仙は昨年から見違えるほど成長し、頼りがいのあるリーダーになった。

その背中がヘラクレスの監督と同じように、大きく見えるのは、きっと気のせいではないのだろう。

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