雑誌のインタビュー内で、そう胸に秘めた想いを綴った木崎。
“私の麻雀はまだまだ見せられてない”
と言わんばかりの表情に感じた人も少なくないのではないだろうか。
また、木崎と似たような幸せの導きを辿った女神が現れる。
“ミス・パーフェクト”
東城りお
であった。
薔薇の刺繍を施した純白のドレスと、スポットライトにより更に映える紋白蝶の髪飾りという優雅な装飾品を見に纏う。まるで美と愛の女神であるアフロディーテを彷彿とさせる彼女は
東3局
一度はツモアガリを逃し、目を瞑る仕草を見せながらも
こちらも程なくしてツモアガリ。
親のツモ・タンヤオ・七対子・ドラ2
6,000オールである。
読み通りもも山に残っていた。
その見た目からは想像し難い破壊力のある一撃で木崎の背中を追うと
東3局1本場
逢川が周りにテンパイを悟られないようと、淡々と一定のリズムで打牌する中、
東城が山に6枚眠るリーチへ。
そして、蝶が卓上を一周するかのように可憐に一発でツモりあげると、が裏ドラ表示牌に捲れるという幸せな偶然が三者に重くのし掛かる4,000オールとした。
僅か2局という優雅な時間によってトップ目に君臨し、女神の座は渡すまいと木崎の前に立ち塞がる。
一方で、これと対照的だったのが
南1局1本場
逢川である。
東城と同じ山に6枚眠る待ちリーチをかけるも
黒沢と二人テンパイで流局へ。一人テンパイも許されないのである。
麻雀は時として無慈悲なゲーム。
そんな残酷な天使が弄ぶ“狂騒曲”が奏でられたのであった。
これが私の見せたかった姿──そして序章の始まりへ──
決勝メンバーの中において、ある意味違った側面で注目されている選手がいる。
それは最高位戦日本プロ麻雀協会所属の木崎ゆう選手であった。
彼女は近代麻雀の読者アンケートによる投票戦において、圧倒的な差をつけて見事な1位を獲得。
その結果、特別枠として対局メンバーに選ばれた言わば“推しの子2”である。
ん…!? 何故“2”
と思った方もいるかもしれないが、実はこの読者アンケートは去年から始まった企画なのだ。
初代の“推しの子”は先日、日本プロ麻雀協会から日本プロ麻雀連盟に移籍を発表した
篠原 冴美プロ。
所詮タレント・グラビア枠だと言う心のない声を押し除け、麻雀という自らの力で麻雀最強戦ファイナルへ勝ち進んだ実績を持つ。
木崎も少なからず、篠原と同じような見方をされていると感じていたのではないだろうか。
だからこそ
“私は麻雀だけは強いんで任せてください”
という言葉を対局前に力強く語ったのだろう。
確かに序盤は思いもよらぬ幸運があったのは間違いない。
しかし、それだけでは無かった。
その白いベールに隠された正体はしっかりと記録されていたのである。
東3局2本場
例えばこちらの牌姿。
メンツ手と七対子の二兎を追ってを切りそうな場面。
木崎は場の状況やスピード感を見計らいメンツ手一本に舵を取ると