ツモの所で打切り。
今度は純チャンだけに絞らずツモによるピンフのルートを残した。
特筆すべきポイントはその判断スピード。
それは普段から思考を巡らせながら麻雀と向き合っている鍛錬の賜物だろう。
そして予想通り、逢川からリーチの声が入る中、
見事すぎるを引き入れて同じ土俵に立つと
自らアガリの道標を引き込むかのように
13枚が倒されたのであった。
また木崎は、その局面ごとのテーマを持ち合わせながら麻雀と向き合う。
東4局
この局、木崎はドラ表示牌のに声をかける。
つまり、ここでのテーマは誰よりも早くアガリ切る事にしたのである。
三色も見えたり愚形残りも考慮すると、なかなか一声が出ない人も多いのではないだろうか。
それでも木崎は鳴いて戦う選択肢を取り、親である黒沢のドラアンコのチャンス手を
鋭い反応で砂と化し、
南1局1本場
再びメンツ手とトイツ手の両天秤が掛かる局面において、今度はトイツ手の方に寄せるとした。
他にも先にドラをリリースしたり、三色を追わない手組みなど攻守のメリハリの効いた姿が目を引く。
“これが私がみんなに見せたかった麻雀”
と言うメッセージ性がヒシヒシと伝わって来たのは私自身だけではないだろう。
そして遂にフィナーレへと向かって行く。
南4局1本場・供託1本
オーラス開始時、トップ目の東城とは9,900。
つまり、この局を満貫ツモに設定すると
ここまで深追いしてこなかった三色にこだわり続け、そして
夏の風鈴が奏でる華麗な旋律
リーチ・三色同順。
東城より8,000の直撃。
それは大逆転優勝を意味していた。
それと同時に、裏ドラを捲る手つきは重圧から解き放たれたように小刻みに震えていたのだった。
最後に、対局中には無かった表情を見せる木崎。
それは新たな女神が思い描くシナリオ。
投票してくれた読者に優勝という恩返しができたからに他ならない。
そして、そのシンデレラストーリーは12月のファイナルまで続いていく。
まだ序章が始まっただけに過ぎないのだから…。