点差の翼を身にまとい、再び登り始めた最強位への坂 #麻雀最強戦2022 【 #著名人最強決戦 】観戦記【決勝卓】担当記者 #越野智紀

点差の翼を身にまとい、

再び登り始めた

最強位への坂

【決勝卓】担当記者:越野智紀 2022年8月7日(日)

東1局。

最初にテンパイを入れたのが片山まさゆき。
漫画家であり第1期最強位の片山は麻雀に費やしてきた時間が全人類の中でも突出していて、著名人最強決戦の大本命です。

1半荘勝負の東家スタートは序盤にどれだけリード出来るかが鍵と考えていた片山は、この【3ソウ】【5ソウ】のシャンポンでダマテンを選択。

即リーチにいけば相手が攻めづらくなり流局テンパイでの連荘率は上昇しそうでしたが、相手の手を進めて手がぶつかることも覚悟の上でリーチツモを狙える変化を待ちました。

すると次巡に【2ソウ】を引く最高の変化。

山に7枚残りの【1ソウ】【4ソウ】になった片山は満を持してリーチをかけると、これが一発ツモで4,000オールのアガリになりました。

東2局。
今度は親番の本郷奏多に勝負手。

俳優の本郷は実写版アカギの主演としても有名で、始まる前のインタビューでは

「上手な麻雀を平均的に打つよりも一発どこかで大きな見せ場を作りたい」

と、アカギらしいコメントをしていました。
片山の降ろし損ねた積み荷を捕らえ、ダブ【東】が鳴けると

二副露してダブ【東】ドラ2のテンパイ。

【5マン】先切りが光る【3マン】【6マン】待ちです。

この仕掛けへの対応が三者三様で、それぞれ違う特徴を見せるのですが
まずは女流棋士の香川愛生。

第2回囲碁将棋チャンネル杯麻雀王決定戦で優勝も経験した香川は将棋指しらしい受けの強い麻雀の打ち手です。

イーシャンテンになった香川は、本郷の仕掛けに【4ソウ】【5ソウ】どちらも危険筋と判断して【7マン】を切りましたが

次に掴んだ【6マン】も打たずに、通った【4ソウ】を切ってフリテンの受けを残しました。

詳細に本郷の手順を分析すると、まず【5マン】【7マン】【7マン】と落としていることから手役が絡まない単純な愚形は残って無さそうに見えます。

【7マン】トイツで持ちながら【5マン】を先に切るパターンの一つに【3マン】【6マン】のリャンメン固定があります。

【5マン】【7マン】【7マン】から【5マン】を切れば【6マン】の受けが無くなりますが、【4マン】【5マン】【5マン】【7マン】【7マン】からなら【5マン】を先に切っても【6マン】の受けが残ってロスが少なくて良いです。

本郷の仕掛けが好形ならば残った待ちは【2ソウ】【5ソウ】【5ソウ】【8ソウ】【3マン】【6マン】あたりが本命です。

【5ソウ】は勿論のこと、河に置かれていた【5マン】が別の意味で光って見えた香川の警戒網に【6マン】もかかりました。

 

それに対してトップ目の片山は
【3ピン】が4枚見えたことで他家はドラの【1ピン】はトイツでしか使えない状況になり、既に【1ピン】トイツの自分が一番有利と考え持ってきた4枚目の【白】を暗カンする強気の姿勢。

新ドラも【1ピン】になり跳ね上がる本郷の打点。

【2マン】【5マン】を引いたら18,000放銃で実写版ざわざわ状態になりそうな片山でしたが、
嶺上牌から唯一助かる【3マン】を引いて九死に一生を得ました。

本郷と片山の勝負に挟まれ困っていたのが、

お笑いコンビトータルテンボスの大村朋宏。
本郷と片山の攻めに【發】を切るのは厳しすぎるとピンフのテンパイを外すも
終盤で形式テンパイで【7ピン】を切ってのテンパイ粘り込み。

それを受けて1人ノーテンが見えてきた香川は、
【6ピン】を暗カンせず片山にハイテイを回す。危険牌で降りてくれたら失点が抑えれ、仮にツモられても片山がリードする分にはオーラスで1対1の構図が作りやすくなるので良しの構えです。

「北家スタートを引いて最後にチャンスがあるということで、それでどう戦えばいいか難しかった」

そう謙虚にコメントしていた香川でしたが、随所に北家スタートを生かした選択を取っていました。

東2局1本場。

さらに受けの強さを見せた香川はイーシャンテンから片山・大村に対してワンチャンスの【3マン】を止めてベタ降りします。

この時、大村はペン【3マン】受けの残ったチャンタ崩れのイーシャンテン。

そして片山はカン【3マン】テンパイ、見事です。
結果は最後の【5マン】を引いてリャンメン待ちに変化した片山が一発ツモ。

ホンイツで追いついた本郷のリーチを振り切って満貫のアガリでリードを広げました。

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