すぐに渋川難波も追いつき、リーチを宣言するが、これは通らず7700点の直撃。
南2局1本場
リードができ、スリムに構えていた佐々木寿人だが、周りのスピードも遅く更に先制リーチを放つ。
これをしっかりとツモり上げ4000オールでダントツとなった。
南2局2本場
こうなると魔王は止められない。
2つ仕掛けて今度はチンイツのテンパイである。
ここまで出番のなかった猿川真寿がドラを4枚内蔵してリーチを放つ。
この待ちになれば地獄の果てまで捲り合い上等の魔王が勢い良くを叩きつけた。
更にこの待ち、この打点ならばと渋川難波も参戦。
まさかの2軒リーチに挟まれ魔王が20秒の長考に入った。こちらも貴重なシーンである。
は自分の目から見えている枚数的にも最上位に危険な牌だ。
しかし、が3枚切られていては待ちを変えたところでアガリはほぼない。
それならば、シンプルに自身のアガれる可能性を最大に受けようとツモ切りを選択した。
これを通したならば結果は見ずともわかるだろう。
点箱の中は70000点を超え、三者はトップを目指すことを諦めた。
こうして魔王こと佐々木寿人は辺り一面を焼き尽くし特大のトップ奪取し、アッサリと開幕2連勝を達成したのだった—————
南2局3本場
そんな結末を誰もが想像し、動画をそっと閉じようとした時に魔神が目を覚ます。
先手を取った渋川難波が、これさえアガれば2着は固いとリーチを放つ。
4枚目のドラをアンカンして、リンシャン牌に手を伸ばすとが手元に舞い降りた。
優しく裏ドラを捲ると、転がったのは。
まさかの6000-12000を魔王に親被りさせ、一撃で36000点もの距離を縮めた。
南4局
まさかの三倍満と親でのアガリでハネツモ条件まで詰め寄られたものの、最後はヤミテンで逃げ切り佐々木寿人が個人2勝目を奪取した。
もし、あのチンイツを押し切れていなかったら—————
渋川難波が奇跡の逆転トップを取っていたかもしれない。
この舞台で70000点というのはセーフティーリードではないのかもしれない。
そして、魔神渋川難波は魔王佐々木寿人を更に次のステージへ上げてしまったのかもしれない。
坪川義昭(つぼかわよしあき) 日本プロ麻雀協会5期前期生。雀王戦B1リーグ所属。行政書士法人石田事務所に勤務。 https://www.ishida-tomoyuki.com X(旧Twitter): @eehounotsubokku