1年後の巡り合わせ── 再会した2人の物語──【Mリーグ2024-25観戦記 10/11 第2試合】担当記者 小林正和

しかし、ここで皆さんに勘違いして欲しくないのは“強気”と“無謀”は似て非なるものという事である。

それが象徴的だったのが
東2局3本場

比較的早い巡目に受けた堂岐からの【5ピン】【8ピン】リーチの場面。

ここまで猛烈な逆襲を見せていた姿に水を刺すような右端の【8ピン】

堂岐への高め放銃牌である。それも一発というおまけ付き。

安全牌も【9マン】の一枚しかなく、通ってないまだ無筋は16本/18本も存在する。
供託も3本と今度は行きたい理由だらけ。

流石のビースト・ファンも、ここは目を覆いたくなるようなシチュエーション…

かと思われたが、何と唯一の現物を抜いて放銃回避に回った。

もちろん、100回【8ピン】を切っても放銃回数は恐らく数える程度だろう。

しかし、菅原はピンフさえ成るか怪しいこの手牌を武器に、この後に引いてくる他の無筋を切る価値があるのだろうかと冷静にジャッジ。

ここは我慢という弱気とは似て非なる選択で難を逃れた。

前回の登板とは別人のような姿をここまで見せてきた菅原。

そして、その絶妙なバランスを保った矛と盾で今シーズンの初トップ獲得なるか。サポーター達も期待を寄せる。

だがしかし、その前に大きな壁となったのは共にドラフト会議指名オーディションという決勝戦で凌ぎあった戦友・浅井堂岐という存在であった。

かつては同じチーム入りを目指した二人が
南4局

今こうして別の使命を果たす為に、牌と牌で会話している。

◆菅原
38,900
◆堂岐
43,600

その差は僅か4,700点。
堂岐にとっても待ちに待った悲願の初トップが目前であり、その行方を左右する大事な大事なオーラスを迎えていた。

ここからは神のみぞ知る領域である。

まず先に身を委ねたのは堂岐であった。

ギリギリまで手を組んでいたが、瀬戸熊の2副露と仲林のリーチ・アクションに万事休す。リャンメンターツ壊しで二人に任せた形である。

菅原とは4,000点以上離しており、一人ノーテンでもトップが残る事がその選択に拍車を掛けたとも言えよう。

そして本日のヒロイン、菅原には待望のテンパイが入る。

それも、【2ソウ】のドラをアンコにしての絶好の【1マン】【4マン】【7マン】待ち。
打点も待ちもお釣りが来るぐらいの申し分の無い1牌であった。

だがしかし、ここでトレードマークである“困り顔”が発動したのである。

そうさせたのは3巡目に佇む【1マン】の存在… そうフリテンであった。

菅原も道中

それを解消できる選択肢がありながら

しっかりと意志を持って自身のツモ山へ牌を伸ばしていた。

その時の全体図がこちら。

確かにチーテンが取れる牌姿であった。
そうさせなかったのは、やはり4,700点差という所だろう。仮にチーした瞬間でのトップへの道はツモor堂岐からの直撃のみなのである。

もちろん、この後リーチ棒が出て全員から出アガリできる展開やドラの【2ソウ】引きからタンヤオへの渡りも残る等は重々承知だろう。

それでも菅原も菅原で今のフリテン・テンパイに身を委ねたのである。

最後はお互い祈るのみ。

堂岐と菅原の1年越しの戦い…
そして、開かれた1牌が向かった先は

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