もちろん、「そこに何があったか明かされていない」部分を見ることに抵抗がある人もいるだろう。
ただ、興味がある視聴者も多い部分でもあるので、試合が完全に終わったあとであるならば、Mリーグではそこまで厳格に「見てはいけない」としなくてもいいのではないだろうか。
続いて、カンのし忘れは、確かに見ている側からすれば、「何やってるんだよ!」とは思うだろう。
しかし、ヒューマンエラーなので仕方がないと言えば仕方がない。先日の多井のチョンボもそうだが、打ち手としてはどうしても0には出来ないものだ。
カン材は右に寄せるなど、何か具体策をとって再発防止に努めてほしいが、責め続ける質のミスではないように思う。
他の選手の例ではあるが、以前親番の取り出しで少牌をしてしまった高宮が、必ず14枚揃った段階で打牌を考えるようにしたり、牌を見間違えた多井がメガネを装着したりする姿は、前向きな解決策として素晴らしいと感じる。
起こってしまったことは仕方がないので、このように未来で解決する他ない。
次に、点棒に関しては、至近距離でも転がすのはあまり良くないので、次からは手元に置いてもらいたいと思う。場面と相まって悪目立ちし過ぎの印象もあるが、点棒を受け取る側として良いことではないので、また改善しておいてほしい。
そのような抜本的解決策が提示しづらいのが心苦しいのだが、私は、舌打ちだけは何とかして、鳴らないようにして欲しいと考える。
アツい勝負の場面ではあるし、前の巡目にツモったが、マンズ待ちに取っていれば一発ツモだったという思いがよぎって、カン材が河に並んでしまった気持ちも痛いほど分かる。
だが、良くないものは良くない。
舌打ちは、聞いた人にマイナスの感情をもたらしてしまうからだ。
ミスをしてしまった自分に向けてのものだと想像するが、それでもアガった人が良い思いをすることはない。
雀荘の説明でも、「舌打ちはご遠慮ください」「舌打ちは禁止です」とされているところが大半である。
放送対局のMリーグと巷の雀荘は違う、というのも分かる。アガった牌を手元に持ってくることなど、Mリーグだからこそあってしかるべきことはいくつかある。
ただ、舌打ちは違う。必要でも何でもない。いいことは一つもないと言っていい。
この日、実況解説で「若い人へのMリーグの普及」が話題になっていたように、Mリーグへの注目度は高い。
マイクの感度が高すぎるなどの側面はあるにせよ、言い方として厳しい言葉が並んだが、Mリーガーが悪い所作の見本にはなってほしくないと思う。
なにより、
萩原の評価としてもったいないのだ。
深夜に萩原と松本がインスタライブをしているのを聞いていたが、萩原がずっと前から松本を後輩として可愛がっていることは、本当にひしひしと伝わってきた。
解説の河野も、萩原に育ててもらったと聞く。彼ら後輩だけでなく、仲間やファンに惜しみなく情熱を向けられる人だというのは傍から見ていても分かる。
また、Mリーグの普及に非常に力を入れているのも見ていて強く感じる。インスタグラムのアイコンはMリーグのロゴだ。
俳優業が忙しいにも関わらず、その行動力には頭が下がる。
麻雀の戦法に関しても、この日は鳴きを増やして、トップに対しての貪欲な姿勢を見せていた萩原。
また次の出場時には、あらゆる面でさらに進化した姿が見たいと願う。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite