https://note.com/kinma/n/nbcee08548dd6
朝倉は戦前、「ザ・リベンジ」に向けて、やや消極的とも言える書き出しのnoteを書き、「純粋に麻雀を打つために麻雀を打つ、さらにいい麻雀が打てるように頑張る」と締めくくっている。
この日の朝倉からは、「鬼気迫る」と表現したくなる気迫と、勝負師が醸し出す色気のようなものが感じられた。卓上を見据える目線は鋭く、リーチ後にはツモ牌をカメラに見せずに切り飛ばす。「麻雀を打つために麻雀を打つ」そんな朝倉は、今なお麻雀界のスターであることを、その姿勢と麻雀で示したと思う。
■松本吉弘よ、駆け上がれ、遙かな高みへ
そしてやはり、最後は勝者で締めねばなるまい。
南4局2本場で朝倉のリーチを受けた後、松本はカン待ちテンパイを一度外している。
そして、待ちに変わったところでリーチと打って出た。
もちろん、ダマテンにする選択もあった。ただ、谷井がダマテンを入れていたらテンパイノーテンで変わる点差だが、逆転条件が軽くなった谷井がオリることはなく、また朝倉も谷井からは倍満でない限りアガることができないと考えると、真っすぐに手を進める谷井が終局までにテンパイを入れる可能性は、そこそこ高そうではある。
何より、朝倉がハネ満リーチであればツモられても放銃しても負け。そして、朝倉のリーチがそれだけの手であることも、半ば確信していただろう。であれば、朝倉の逆転手を自らのアガリでつぶすことが最善。もちろん怖いが、それをはねのけて戦うべき局面だった。
枚数が同じめくり合い、後は山のどこに何が積まれているか。朝倉は、苦々しげにを切った。
リーチピンフ裏、5800は6400のアガリ。
松本は次局も谷井からの直撃を取り、見事、自身初のファイナル進出を決めた。
「ザ・リベンジ」は、「負けたけどもう一度コイツの麻雀を見たい」というメンバーが主に集められた大会である。選ばれること自体もプロとして価値があることだと思うが、そこで勝つことで、また自身の価値を証明することにもつながる。そして、「ザ・リベンジ」を勝ったからには、ファイナルでも下手な戦いは見せられない。
4年前、彼の盟友とも言える多井隆晴は、同じ舞台からファイナルへと勝ち上がり、最強位となった。
松本吉弘よ、駆け上がれ。
最強位という遙かな高みへ。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。