オーラスだ。
そして2度目の、鳴かずの場面がやってくる。
アガればトップでの、役牌鳴かず。
ここの場面について竹内はこう振り返ってくれた。
「親の松ヶ瀬さんもと数牌手出して来て速度感あったし、他2人も役牌からの切り出しでそう悪くないように思った。自分は仕掛けると3副露になってしまいそう(鳴きやすいがポンできるため)で、そうなるめくり合いは微妙かなと」
他にも、現状2着目で直撃が打てない猿川からの現物2枚消費であること。
そもそも、自分がアガらなくても、渋川が着アップが現実的に狙える点差且つ、場合によっては3着を受け入れるアガリもしてくれると思っていたとのこと。
すぐにこの後松ヶ瀬からが放たれるのだが、このが現物になっていた後だったら、竹内はをポンしていたかもしれない。
それくらい、微差な選択だったという。
実際、この選択は対局後でもどちらが良かったかかなり悩んでいたようで、「次は鳴くかもしれない」と話してくれた。
10巡目、親番松ヶ瀬からリーチが入る。
イーペーコードラドラのペン待ち。
それを見て、渋川が仕掛ける。バックだ。
松ヶ瀬に大きなアガリをされてしまうと、自分が4着になってしまう。
2着の見える仕掛けではないが、ここはチー。
2着目猿川が追い付いた……!
を引き入れて待ち。
ドラのをツモれば文句なく逆転。は、山に1枚残っていた。
最後方から、渋川が追い付いた。
竹内が2人に通っていてかつ、4枚目のを持ってきた巡目に即座にリリース。
これを渋川が鳴いて、テンパイ。
アガリがそう見える形ではないが、単騎に受ける。
決着は――
3着を受け入れた、渋川のアガリ。
これもまた、竹内がをスルーした時に考えていた自分にとって良い結果のひとつ。
新加入の竹内元太が絶好調のまま4連勝。
個人首位をキープしている。
インタビューでは、「今は展開が良すぎるので、そう上手くはいかないと思います」
と謙虚に語った。
実際、今シーズンが始まる前は「目標はプラス50pt」と語っていた竹内だ。
本人にとっても、今の結果は望外なのだろう。
とはいえ、これで既にトップは6度目。
「アッ(ポーズ忘れ)……セガサミーフェニックス!」
……いい加減、このポーズにも慣れて欲しいところだ。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924