対面にいる太の切り出し、→
。
そして、勝又の第一打である。
多井は検討配信で、このような旨を話していた。
「今までの太の牌譜を見て、親で→
と第一打から打ってきたときに、(この局の多井の手より)配牌が悪かった試しがない」
なるほど、役牌からの切り出しは、「役牌を重ねて仕掛ける必要性に乏しく、門前リーチに向かう」手順を踏んでいると読める。
さらに、積極的に動いていく太が役牌に頼らないくらいなのだから、なおのこと「数牌の並びが良い」整った手が入っていると考えられるわけだ。
しかも、

そんな太に、下家の勝又は「親の現物であるを合わせ打っている」のである。
勝又も、明らかに臨戦態勢だ。
そう考えたとき、多井の手を見ると、メンツどころかリャンメンすら0である。これでは戦いようがない。
だから多井は、七対子と、一応のブロックをともに残しながら、安全牌のや端の
を手に留める選択をしたのであった。
実際に、役牌2枚を捨て終わった時点で、太の手は、

こちらであった。
多井より整っている。
さらに勝又の手は、

2メンツ! 凄くいい手だ!!
このような「配牌格差」を河から読むことで、多井は、価値のないところからの放銃を徹底して避けているのである。
面白いことに、この局は、

牌が多井に寄ってきた。
中盤に2メンツが出来たところで、打。
ここでも、安全牌2枚を抱え、ガードは崩さない。
11巡目に、

ドラを引いて打。

手牌を見つめる多井。
さらに、

ペンチャンを引き入れ、くっつきのイーシャンテンに。
勝又も、太も、そして優からもリーチが来ないまま、
「リーチ」

先制したのは多井だった!
ドラ表示牌を引き込んでのリャンメンリーチ!
しかし、

優も追いついてきた。
多井が一発でつかんだのは、

ドラ…!
しかし、多井の河にが置かれても、優から声はかからなかった。
今季、山に弄ばれ続けたABEMAS。
今までは、このドラが刺さって厳しい展開になる、そんなムードだったが、

風向きが変わりつつあった。
ホウテイ牌で、多井がをとらえ、裏ドラが2枚! 8000点のアガリだ。
このあと、多井は、東3局の親番で、1500のアガリと、

2600は2700オールのツモアガリを決め、頭一つ抜け出していった。
あとは、「失点機会を減らす」打ち方で局を潰せば勝ちだ。
そこへ立ちはだかったのが、

多井とは対照的に、「加点機会を増やす」スタイルの太であった。
目を細めながら考えていたのは、