3着目に落ちてしまった園田からリーチが入る。
ツモれば無条件2着。裏ドラが1枚乗れば、トップまで。

松本が、現物を抜いた。
親が菅原な以上、流局でトップを逃すパターンが存在しない。
菅原がテンパイの場合はもう1局あるからだ。
園田は打点が足りているかもわからず、そこに打ってしまうと1着から3着にまで落ちてしまうリスクを孕む。
手もアガれる形にはなっていない。当然のオリ。

そう、分かってはいても。
長い。あまりに長い。局が終わるまで10巡だ。
菅原がノーテンで、園田がツモらずに、終わることが一体どれくらいあるだろうか。

選ぶ、必死に。園田に当たらず、なるべく菅原がテンパイの取れない牌を。
懸命に絞り出す。

園田の最後のツモ番。
山に2枚あったアガリ牌は、園田の手元には来なかった。
あとは、菅原がテンパイがどうか。

ホウテイの切り番。優がを河に置いて、流局。
親番菅原の手牌は。

静かに、伏せられて。

――重く、苦しい17戦。
18回転目のシリンダーに装填されていた弾は、決して強力なものではなかったかもしれない。
それでも。
死力を尽くして勝ち取ったトップを。
松本が万感の想いで噛み締めた。


トップインタビューでは、少し目頭を押さえるようなシーンもあった。

17戦トップが無いことくらい、松本ほどの打数を誇る打ち手からすれば、ままあることかもしれない。
それでも、このMリーグという舞台で、チーム戦で。仲間の力になれていないというその焦燥感と心労は、我々には想像もつかない。

さあ、これで強い男が帰って来た。
シーズン終盤戦に、ファンにとってこれだけ頼もしいことはないだろう。
次こそは、松本の銃口が火を噴き、気持ちの良いアガリを決めて。
彼の屈託のない笑みが見られることを、楽しみにしたい。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924