今、話してきたタンヤオになるツモでも、テンパイを外した瞬間は、本当に嬉しいツモはの9枚しかない。
やや乱暴なたとえだが、リャンメンリーチのアガリ牌8数とたった1枚差だ。そう考えるなら、理想的な牌をスンナリとはなかなかツモってこれないことは、分かっていただけるかと思う。外してみたはいいが、全然テンパイしない、という経験はみなさんにもあることだろう。
さらに、愚形テンパイとなる、あたりを引いてしまう恐れも存在する。これも10枚あるのだから、想定に入れておかないといけない。
ならば、
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今ここでリャンメンリーチを打つのも、もちろん有力だろう。
このままだと、を引いてもリーチツモの500-1000だが、裏ドラと複合する可能性もある。
アンコがあるので確率の高い牌姿ではないものの、それでも4回に1回程度は、裏ドラが乗るだろう。
雑な計算で申し訳無いが、全部で34種類の牌がある中で、この手格好では最低9種類の牌を使えることになる。概算すると約26%だ。
一発やも含めると、この手でラス抜け出来る可能性はさらに上がることになろう。
また、先に述べたように、上家の醍醐は速度感のある河をしているので、作り直す余裕がそこまでない、というのもある。
そんな中で、
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イーシャンテンに戻して、醍醐に完全先制されると、それはそれで苦しい。
基本的には醍醐と直対をする局になりそうだからこそ、めくり合いをする価値のある高い手を組むという考えもあるにはある。
だが、先に述べたように、確実に巡目がかかる中、好形テンパイも確定していないのなら、今ここで確定している先制リャンメンリーチを打ってアガリを狙うのも、一つの積極策だ。
タンヤオをつけてアガったとしても突き抜ける可能性は低いので、結局、親番勝負になるだろうというのもある。
と、長々と書いてきたが、みなさんはどう思われるだろうか?
述べてきた話は「まだ見ぬ打点」と「今確定しているテンパイ」の比較なので、単純に比べることは出来ず、難しい。
私は、この局のアガリパターンが、醍醐からのロンか、ツモアガリになりそうなことから、ツモで点差を縮めるもよし、裏ドラが乗ればなおよし、と考えて即リーチをしそうだ。
作り替えてから、ツモアガれる待ちになるかも不確定なので、それなら安定択としてリーチがいいか、という考えである。「リーチ:外し=6:4」くらいの感覚だ。
楽屋動画やSNS、YouTubeなどを見ても、寿人はリーチ、太は外しということで、Mリーガーの中でも意見が割れている。ここでの選択が難しいものだ、ということが分かる。また、こういうのは「今までやってきた成功体験」に、選択が左右されるフシもあるように思う。
ルールが違うのであくまでも参考でしかないが、麻雀AI「NAGA」の解析は、
※解析は、筆者がt-yokoさんのnote (https://note.com/tyoko_tenhou6dan/n/ndbf78a1705d3#fd5aa1b5-f699-4acd-b37f-f3cbcfcd9419 )から購入しました。
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こんな感じになっている。打外しもあることが牌の上のバーからわかる。
ルールの違いで親のムーブこそやや変わってくる(特に、ラス回避ルールならド終盤に親がオリることは増える)が、着上昇を目指す、という点では共通しているので、この解析が完全に的外れだということはないだろう。
この記事で言いたいのは、「完全な一択レベルではない」ということだ。
スパっとした結論が出なくて、モヤモヤしている方もいらっしゃるだろうが、「大差ではない」と理解することもまた、麻雀では大事だ。少し条件が変わって要素が偏ったときに、自信を持ってリーチか外しかを選択出来る。
では、結果を見ていこう。
テンパイを外した滝沢は、
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13巡目にをカン。
リャンシャン牌にいたのは、
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だ!
作り直した甲斐があった!
しかし、
「ロン」
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このが、醍醐のダマテンに捕まってしまう。
タンピン三色一盃口ドラドラ赤赤、24000。
「何してんだよ! 即リーチだっただろう!」
という声が多く聞かれたけれども、それはあまりにも結果が悪過ぎたため、というのはあるだろう。
このがロンでなかったら、「テンパイ外しすげー」という声がマジョリティになっていた可能性も大いにある。
放送対局の辛いところだとも感じる。
さらにこの日は、他の局で見栄えの悪い局面があったことが、南3局の選択を視聴者が判断する際のバイアスになっていそうにも思う。
インタビューでも振り返っていた、
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南2局1本場の、
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この打による、
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赤赤ドラへの放銃は、確かに押し過ぎだったように感じる。
愚形含みのイーシャンテンから、+ソウズ無筋1枚のコンボは、アガリへの障壁としては高すぎる。
しかし、
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