【徹底検証】滝沢和典はラス前にテンパイを外すべきだったのか?【Mリーグ2024-25観戦記 2/20 第2試合】担当記者 ゆうせー

【徹底検証】滝沢和典
ラス前にテンパイを
外すべきだったのか?

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2025年2月20日

第2試合

東家:日向藍子渋谷ABEMAS
南家:渡辺太赤坂ドリブンズ
西家:醍醐大セガサミーフェニックス
北家:滝沢和典KONAMI麻雀格闘倶楽部

全22局のロングゲームだったが、大きく風向きが変わったのは、南3局

点数状況は、

このようになっていた。太が頭一つ抜けた状態だ。

そして8巡目、4着目の滝沢に、

このテンパイが入った。

立体図は、

(黄色の牌がツモ切り。白の牌が手出しである。)

このようになっている。

さて、みなさんならどうするだろうか?

滝沢が選んだ道は、

【9マン】の「イーシャンテン戻し」ルートだった。

狙いは「打点」である。

もう一度立体図を見てみよう。

滝沢の手は、【9マン】以外、全てタンヤオの牌である。

【9マン】を切っておいて、ツモ【6マン】【4ピン】【6ピン】の9枚なら文句なし。

ツモ【3ピン】【5ピン】【7ピン】の10枚でも、愚形にはなるが、タンヤオがつくので打点は上がる。

ツモ【2マン】は単騎選択、ツモ【7マン】はさらに打【8マン】で外し、ツモ【5マン】はフリテンリーチを打つかどうか、など各種複雑なルートも残るが、いずれにせよ現状よりも高くなる可能性は秘めている。

他に、この手には「ソウズの二段階変化」もある。

例えば、ツモ【6ソウ】ときた場合に【7マン】を打つと、

【2マン】【2マン】【6マン】【7マン】【8マン】【2ピン】【2ピン】【2ピン】【5ピン】【5ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】

という、魅力的なイーシャンテンになる。

と、ここまではいいことずくめに見えるが、手を作り直すには、絶対に巡目がかかる。

そんな余裕があるのか、他家の河を見てチェックすると、

対面の太はバラバラの切り出し。トップ目といえこともあって、おそらく配牌オリをしているのだろう。ここに先を越される心配はない。

また、下家の日向は、手作りの要となる3~7の数牌を1枚も切っていない。ここも、まだ速度としては遅そうだ。

ただ、上家の親、醍醐は他の二人とは違う。3~7の牌が3枚も余っており、ここはいつリーチが飛んできてもおかしくはないと見える。

それでも、滝沢が即リーチではなく作り替えることを選んだのは「着順上昇」を狙ったからだ。

今、

親の醍醐とも、子の日向とも、3500点差。

500-1000のツモアガリだと、親とは3000点、子とは2500点、差が詰まることとなる。

要は、リーチツモをしても、それでは逆転しないのである。

もちろん、現状より逆転しなくても、差が縮まること自体は悪いことではない。

「放銃したら着落ちする」状況になった他家が、オーラスに失点すると、滝沢は着順がアップするからだ。また、滝沢がアガる場合でも、点差が少ない方がマクりやすい、という理由もある。

ただ、滝沢はオーラスの親番だ。子の誰がツモアガっても、自身のラスは確定してしまう立場である。

それなら、

ここでタンヤオをつけておけば、リーチツモ+1ハンの1000-2000でオーラスを2着目で迎えることが出来る。

なるべくこの局で浮上しておきたい、という狙いで、滝沢はイーシャンテンを崩したのであった。

と、ここまでテンパイ外しのメリットを述べてきたが、大事なのは、

「変化は、するかどうか分からない」

ということだ。

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