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一見すると分が悪そうな戦いに見えるが、実はそうとも限らない。その鍵を握るのは“残り巡目の少なさ”だろう。
ツモ回数が残り僅かというのは、裏を返せば“放銃のリスクもそれだけ低い”という事。また相手がポンできる形であったとしても、シャンテン数の変わらない鳴きであれば躊躇する可能性すら出てくる。また、仮に放銃しても親番がまだ残っていたり…。無謀に映る一打も、冷静に掘り下げていけば意外にも理に適った選択とも言えるだろう。
また、こうした大胆な一手があるからこそ、繊細な部分を一層際立たせる。
南3局1本場
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17,600持ち3着目の瑞原にテンパイが入ったシーン。
を切ればピンフ・ドラ1の
待ちである。
一発・裏・赤牌ありのルールであれば、十分に勝負手となるが…
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ここで瑞原はアガリへの羅針盤が指し示す方位を見極めるように、卓上を見つめるのであった。
焦点は、やはり堀・大介の鳴き、そして場に放たれている4枚のと仕掛けに含まれている1枚の
にあるだろう。
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この時の心境を後に語ってくれた。
瑞原
「堀さん大介さん共に、マンズのゾーンが一番危険だったんですよね。またが一番見えていましたし。それでも他に当たり候補は残っていたので、リーチにいきたかったんですが…。」
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瑞原
「残り3枚のも手の内にもたれてそうだったので…。」
という理由からとし、テンパイ取らずとした。
実際に…
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二副露した堀の7枚の中央には、残りの全てが並んでいた。そして、瑞原の手に余った
は堀へのロン牌。
2021-22シーズンのMVPを手にしてから3年連続でトップ争いを続ける瑞原。今シーズンも総合5位に位置しているが、正にその安定感を証明する一局となったのは言うまでもない。
この試合、開始前の解説・石橋の言葉が印象的であった。
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石橋伸洋
「全体一位を誇る瀬戸熊のリーチ率が決まるが注目ポイントですね。」
その言葉が言霊となったのは東1局の
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瀬戸熊の2巡目の何気ない切りから始まったのである。
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瀬戸熊
「入りが良くなかったですね。あそこの切りの場面では、
切りと迷いました。」
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結果的にではあるが、河に綺麗にのメンツが並んでしまう。もし
を選んでいたら… ここで
「待ちリーチ!」
となっていただろう。
そして、この一牌の行方が、後に大きなドラマとなって帰ってくる事に。
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変わって、こちらは大介の切り番。
タンヤオ・七対子の… ではなく、ツモリ四暗刻のイーシャンテンである。それも大介は親、16,000オールなのだ。
ただし、難しいのはドラがという事。
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比較的スピーディーな打牌を見せる大介も、少しばかりの時間をかけた。そして、意を決したように──。
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ドラ・ターツでもある落としへ。
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その時の堀の表情を見れば、いかにその異常事態の深刻さがお分かりになるだろう。
特に瀬戸熊に関しては“たらればテンパイ”でロンアガリだったのである。
本人は知る由もなかったが、“幻の見逃し”を受けた大介。その先に待ち受けていたのは──。
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必然の“四暗刻テンパイ”。
今年に入ってからチーム最多となる11戦目を迎えた大介。今シーズンの最高得点記録も持ち、役満もアガっている、その爆発力が期待される中、大きな加点が必要なチームにとっては正に“起爆剤”となる一戦。監督の“大介・連投作戦”には、そんな勝負の意図が込められていただろう。
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