待っていても風は吹かない
高宮まりが自ら手繰り寄せた
連勝の気流
文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2022年12月2日
麻雀において「状態が良い」という言葉を聞いたことはあるだろうか。
人によっては「態勢が良い」とも言うし、もっとMリーグによりそって表現するのであれば「風が吹いている」なんてたとえたりもする。
とにかく自分の読みや選択が冴え渡り、良い結果につながる状態。
麻雀を打ったことがある人であれば、思い当たる節があるのではないだろうか。
ではなにを持って「状態が良い」とするのか。
ここについてはおそらく色々な意見があると思うが、私個人の意見としては一番わかりやすい判断基準として
オーラストップ目で、1000点のアガリが6巡以内に出る時が、一番状態が良い、と思っていたりする。
ではいかにして、高宮がこのオーラス1000点のアガリに辿り着いたのか。
順を追って見て行こうと思う。
12月2日 第2試合
東家 高宮まり (KONAMI麻雀格闘俱楽部)
南家 鈴木たろう(赤阪ドリブンズ)
西家 東城りお (セガサミーフェニックス)
北家 本田朋広 (TEAM雷電)
東1局
まずは開局の高宮。
ドラがでこの手牌から選んだのは。
123三色にはもうほぼならず、は場に2枚見えていることから重なりにくい牌。
を引いての二次変化三色よりも、瞬間の引きでのテンパイを重視した。
高宮はストレートな麻雀を打つ。今季は副露も増えてその雀風は変わっているように感じられるが、根幹は変わっていない。
手を真っすぐに育て、ぶつける。
同チームのエースである寿人を彷彿とさせるような直球勝負が魅力の選手だ。
巡目が少し進み、を持ってきて、少考。
やを切っているため横の変化は少し見辛いところだが……
これを残して切り。
解説の藤崎プロはペンが良く見えているのではないかと言っていたが、私は少し違う意見だ。
は確かに河的にも東城は持っていないかもしれないが本田はの対子落としがあっただけでは持っていてもおかしくなく、たろうもピンズに目立った情報はない。
どちらかと言えば高宮は、河の濃くなってきた相手に対し、もうここからペンターツを落としている時間は無いと判断したのではないだろうか。
だからこその、雀頭を作りやすいの亜リャンメンとのノベタンを残したのではないだろうか。
そしてこの構想がピタリとハマる。
少し時間はかかったが、見事を引き入れてのテンパイ。
打点こそないが、親で先制リーチを打つことに成功した。
山にはこれが1枚しかなかったが、終盤でテンパイを入れた東城が放銃。
そしてこれが僥倖のウラウラで7700。
ペンリーチになっている打ち手はいるかもしれないが、ウラドラになった6mが雀頭になっている打ち手は少ないのではないだろうか。
そういった意味でも、高宮らしさが出た1局だった。
ここから高宮の麻雀が勢いを増す。
東1局1本場ではイーシャンテンでを切ってピンズをこの形に固定していた。
のうちどれかを引いて来ればテンパイで、いずれも即リーチに踏み切る構えだったのだろう。
これも高宮らしい直線的な構えだ。
そしてその中で引いてきたのは絶好の。
最高形の待ちでリーチをかけることに成功する。
これを一発でツモは4000オール。
高宮の選択に牌が応えている。これで一気に高宮がトップに躍り出た。
東3局でも8000点をアガった高宮は、大きなトップ目で南場の親番を迎える。