BEAST Xはまだ負けていない 猿川真寿、希望をつないだモンキーマジック【Mリーグ2024-25観戦記 3/13 第1試合】担当記者 #東川亮

そしてたろう、猿川以外の2人は、両者に警戒して役牌を切らない。現状役なしテンパイの猿川は、これでアガリが厳しくなってしまった。

そうこうしているうちに、たろうがテンパイ。

ていうか仕掛け出しこれですよ、なんでテンパるのたろうさん?

そして、待ちをツモってしまったが役がないためアガれない猿川。満貫アガリを残すために【5マン】を切ると、

たろうに放銃。

打点こそ1000は1600だが、たろうオリジナルとも言いたくなるこのアガリは奇想天外、猿川のお株を奪うマジック。

 

その後、猿川は持ち点を伸ばせず、3着目でオーラスへ。

このままではチームも自身も、脇役のままで終わってしまう。

それでいいのか。

─いいわけがない。

猿川の逆転条件は満貫直撃かハネ満ツモ。3トイツでメンツなし、本線はドラの【南】を生かしてのチートイツだろう。ただ、逆転手が丸見え、というにはほど遠い。

ドラが重なって一歩前進。ここからが茨の道、獣道だ。

先んじてテンパイしたのは亜樹だった。役なしリャンメン待ち。【2ソウ】が3枚見えとは言え、平時ならリーチ一択に見える。

ただ、自身の手はリーチのみで1300。そして親の多井はリーチに対し、よほどのことがない限り押し返してくるだろう。ABEMASは現状ターゲットのチームであり、ぶつかって敗れでもしたらチームの勝ち上がりの可能性はさらに減少する。また、たとえぶつかって勝ったとしても、1300では多井がリーチ棒を出してなお、3着以下に沈めることはできない。

ということでダマテン。想定しうる悪い状況に備える。

だが、多井から【2ソウ】がツモ切られた。手の形を見る限り、おそらくはリーチをしていてもいつか切られていた可能性が高い。これで、局の行方はもつれることになる。

猿川は【3ピン】【8ソウ】と暗刻にして、ツモり三暗刻の1シャンテンまできていた。ドラの【南】を重ねれば【南】三暗刻ドラ3のハネ満で、ツモ条件クリアとなる。

そして【南】を使わずとも、門前進行ならリーチツモ三暗刻ドラドラのハネ満ルートもある。

次巡、チートイツの1シャンテンだったたろうが、【4マン】をツモ切った。

「チー」

猿川が動いた。【南】後付け、ツモれば三暗刻という仕掛け。逆転のためには【南】が必須で、【南】をツモればハネ満だ。どうせ【南】を使うなら、ということだが、条件がある中でリーチとトイトイを消すチーはなかなかできることではない。

猿川らしい独特な仕掛けが、追い風を吹かせた。【3ピン】を暗槓すると・・・

新ドラは【8ソウ】、猿川に暗刻でドラ5が確定。これで猿川はツモればどちらでも逆転トップになる。

BEASTは、負けるのかもしれない。

負ければ選手入れ替えレギュレーションに抵触し、現行チームでの戦いは今シーズンで終わる。

でも、まだ負けてはいない。

だったらそのときが来るまでは─

どこまでだって、あがいてやるさ。

【南】三暗刻ドラ6、逆転の4000-8000。

それは猿川が【4マン】チーから道を切り開いた、必殺のモンキーマジック。

この1勝を奇跡の足がかりとするかどうかは、今後の彼らの戦い次第だ。

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