黒沢咲が鳴いた… 場を戦慄させたイチ鳴き【Mリーグ2024-25観戦記 3/21 第1試合】担当記者 千嶋辰治

無筋の【1ソウ】をつかまされてローリング。

二人が去った舞台にただ一人残った猿川。

山に3枚残っていた【2ソウ】をツモり上げて1,000-2,000のアガリ。
黒沢への親満放銃はあったものの、戦えている感覚はありありだっただろう。

ところで、「彼岸」という言葉の意味をご存知だろうか?
春分の日と秋分の日を中心とする前後3日間で、一説によると「あの世とこの世の距離が最も近くなる時間帯」なのだそうだ。
この期間は墓参りをし、先祖へ感謝の気持ちを込めて手を合わせるのが日本古来の風習なのだが、あの世とこの世の距離が最も近くなる… とは、少し恐ろしい気がしないでもない。

その彼岸のさなかということもあるのか。
普段は聞こえないはずの声がスタジオに響き渡るのだが、声の主は幽霊ではない。

「ポン」

滅多に見られない黒沢の役牌イチ鳴き。
ドラは【6マン】
もちろん、黒沢が仕掛けるということはそれ相応の理由があることは対局者たちがよくわかっている。

そこで、戦えている感触がある猿川の手がまとまった。

ツモり三暗刻のリーチ。待ちは山に2枚残っている。
これはもちろんリーチ。
シャンポン待ちをスッと引いて失地を回復したいところだが、

富士急ハイランドの戦慄迷宮より怖い「役牌イチ鳴きの黒沢」がいよいよテンパイ。

黒沢の変則3面チャン、なんと戦慄の6枚残り。
そして、

再び繰り返されるナイトメアin春彼岸。

猿川の手からこぼれ落ちた【4ソウ】に黒沢が手を開ける。

2度の【4ソウ】放銃でリーチ棒込み22,000点を黒沢に献上した猿川だが、泣き言を吐いている時間はない。

BEAST Xがチームメンバーの強制交代を免れるためにはレギュラーシーズン突破が条件。
そのタイムリミットが刻一刻と迫っている。
このゲームを含めて残り6ゲーム。
12回しか残っていない親番は本当に貴重。
限りなくゼロに近い可能性を手繰り寄せるためには、一度たりとも簡単に落とせないはずだ。

大切な親番。
まずは先制リーチで場を制圧した猿川が本日2度目のイーペーコーを決めて2,000オールのツモ。

持ち点は少ないながら、手数については申し分ない猿川。
さあ、これから… という時に、それは起こってしまった。

続く東3局1本場

ドラは【東】

軽く理牌された手牌から、猿川は【北】を切った。
が、次の瞬間、

猿川の顔が歪む。
おわかりだろうか?

ご覧のとおり、壁牌は手付かずのまま。
そう、猿川が第1ツモを取っていないのだ。

少牌は規定によりアガリ放棄。
この場面のことは、猿川自身が対局舞台裏で語っていた。

詳しくはABEMAプレミアムでご覧いただきたいと思うが、先々の手牌進行を突き詰めつつ考えを整理しながら不要牌の【北】を切ったところ、第1ツモに手を伸ばしていなかったらしい。

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