
一巡前に手から完全安全牌のを切った渋川は対子落としのノーテンに見える。
それを見てを切った親の園田は真偽不明として、ともかく聴牌を取ることができれば渋川と点差を詰めることができそうだ。
切るのは1巡目に切られたか、10巡目に切られた
か。

白鳥は長考にふける。単騎で当たるのは同条件として、普通に考えれば後に切られているが鳴かれていない以上、偶然その後に重ねたかスルーしてかつ待ちになっている場合のみでしか当たらないので
切りが優位だ。

だが相手が瑠美であることと、園田の河にも白鳥の思考は向かう。
瑠美の雀風を考えれば、このスルーして
シャンポンは普通に出てくることが予想され得る。
そして園田の河は手出しからかなり手牌を構成するブロックが限定的であることが予想でき、字牌ターツを持っているほうが自然に見えるだろう。園田がを持っていれば一枚目を鳴くことが予想されるため、今度は
のほうが危険に見えてくる。

究極の二択、白鳥の指から選び出されたは……

再びの激痛、瑠美への8000の放銃となる。

これで瞬間117ptがひっくり返る展開に。そして……

畳みかけるように瑠美の親リーチ。

それを受けての白鳥の手牌。当然白鳥は考える
「ここまで来たら瑠美さんに和了ってもらったほうがいいのでは?」
トップと2着で順位点40000点違うなら、瑠美の邪魔をせずに4000オールと言ってもらったほうが結果的にチームのためになる。

を引いて聴牌をするも、先ほどの思考から遮二無二立直というわけにはいかない。ここで迂回する
切り。

しかし次巡、引きで着アップが狙える手牌になってくる。

ここで満を持してドラのをプッシュ。ツモれば1600・3200の上、さらに一個上の役満まで見えるダマテンだが……

望外のロン和了り、唯一三暗刻が確定して出和了りできるを渋川から召し取る!
3900の直撃は単純な素点差も引き戻す和了りで、この長い半荘もようやく南入。

しかしここでも渋川があっさりと白鳥の親番を流す。

さらに親番で、リーチ一発ドラの加点は瑠美から。
出所的には白鳥の着上昇の確率が高まるためあまりよくないが、とはいえ和了らずは選べない。

そんな不安が的中したかのように、【南2局2本場】、白鳥が瑠美から5200の和了りでなんと着浮上。
メリーゴーランドのように変わりゆく2チームの運命。
オーラスを迎えた段階で……

点数はこうなっていた。
白鳥はマンガン出和了りで2着、1300以上の放銃でラス。
渋川としてはなんとしても着を落としたい。見逃しも当然出てくる局面。

配牌に手が入ったのは瑠美に見えた。

一方の白鳥はまだまだ遠め。

そしてもう一人、実は渋川の味方が園田。こちらはMVP争いのため、白鳥にはラスでいてほしいところ。こちらも普通に和了れそうな手牌をもらう。
籠の中の白鳥、こんな四面楚歌の包囲網なんて……

今年幾度となく経験してきた! それは逆転劇ではなくリードを経て勝ち続けたものの宿命。
その経験が白鳥の生命力を滾らせるのか、わずか6巡でイーシャンテンまでたどり着き……

無駄ツモなく、山に最後のを引き入れての聴牌!
ラス回避じゃなく、2着取り。リーチで踏み切ると……

鳳凰が、おおきく飛翔した。