鈴木たろうだけがたどり着いた、オリジナルな最終形【Mリーグ2024-25ファイナル観戦記 5/5 第2試合】担当記者 江崎しんのすけ

しかし、たろうの選択は違った。

果敢に【白】をカンして、リンシャンに手を伸ばす。

僅差で、相手の決定打を決めさせたくない状況だからこそ、少しでも早くテンパイを入れる。それがこの状況でできるベストだと判断したのだ。

試合後のインタビューでは、イーシャンテンとテンパイには大きな差があるため、イーシャンテンではカン、テンパイしていたらカンしなかったと答えていた。

たろうの積極策にツモが応える。
リンシャンに眠っていたのはなんと【3ピン】。雀頭ができペン【7ソウ】待ちのテンパイになる。

テンパイ打牌の【8マン】を茅森がポンしてカン【7ソウ】待ちのテンパイが入り、たろうとめくり合いになるが

茅森が7sを掴み放銃。
1,000点ではあるものの、たろうだけのオリジナルなアガリを見せる。

完全にたらればの話にはなるが、たろうがもし【白】をカンせずにツモ切っていた場合。

【8マン】を切っていないので茅森にポンされず、たろうのツモは【西】【中】【6ピン】【東】だったことになる。

これだとたろうはテンパイせず、イーシャンテン止まりだ。

対して、もしたろうがカンしていなかった時の茅森のツモは【8ピン】【南】【4ソウ】【4ソウ】だ。

手牌と合わせると、こんな形のテンパイが入っていたことになる。

ドラ1・赤1の【3ピン】【6ピン】【9ピン】待ち。リーチをかければ満貫が約束されたような手だ。

もしリーチがかかっていたら、イーシャンテンのたろうはオリに回されていただろう。

【3ピン】【6ピン】【9ピン】の数は山に5枚。
もしたろうが白をカンしていなければ、リーチまで辿り着いた茅森のアガリが生まれ、トップが変わっていたかもしれないのだ。

実際のオーラスは、茅森が2着確の仕掛けを入れ、瀬戸熊から出アガった。

たろうトップで終局。

1戦目から続いた悪いムードを払拭する、オリジナルな1勝。
チームにとってこれほど頼りになる選手もいないだろう。

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