しかし、たろうの選択は違った。
果敢にをカンして、リンシャンに手を伸ばす。

僅差で、相手の決定打を決めさせたくない状況だからこそ、少しでも早くテンパイを入れる。それがこの状況でできるベストだと判断したのだ。
試合後のインタビューでは、イーシャンテンとテンパイには大きな差があるため、イーシャンテンではカン、テンパイしていたらカンしなかったと答えていた。
たろうの積極策にツモが応える。
リンシャンに眠っていたのはなんと。雀頭ができペン
待ちのテンパイになる。

テンパイ打牌のを茅森がポンしてカン
待ちのテンパイが入り、たろうとめくり合いになるが

茅森が7sを掴み放銃。
1,000点ではあるものの、たろうだけのオリジナルなアガリを見せる。



完全にたらればの話にはなるが、たろうがもしをカンせずにツモ切っていた場合。
を切っていないので茅森にポンされず、たろうのツモは
→
→
→
だったことになる。
これだとたろうはテンパイせず、イーシャンテン止まりだ。
対して、もしたろうがカンしていなかった時の茅森のツモは→
→
→
だ。
手牌と合わせると、こんな形のテンパイが入っていたことになる。

ドラ1・赤1の待ち。リーチをかければ満貫が約束されたような手だ。
もしリーチがかかっていたら、イーシャンテンのたろうはオリに回されていただろう。
の数は山に5枚。
もしたろうが白をカンしていなければ、リーチまで辿り着いた茅森のアガリが生まれ、トップが変わっていたかもしれないのだ。
実際のオーラスは、茅森が2着確の仕掛けを入れ、瀬戸熊から出アガった。

たろうトップで終局。

1戦目から続いた悪いムードを払拭する、オリジナルな1勝。
チームにとってこれほど頼りになる選手もいないだろう。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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