鈴木たろうだけがたどり着いた、
オリジナルな最終形
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2025年5月5日

5月5日 第1試合
東家:小林剛(U-NEXT Pirates)
南家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
西家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
ファイナル2戦目。
トップを取ったのは鈴木たろうだった。

オーラスまでトップの行方が分からない接戦を制し、1戦目の太のラスを帳消しにする僥倖のトップ。

微差ではあるものの、暫定首位に返り咲いた。
終盤は接戦だったものの、道中大きなアガリは何度かあった。
東1局には、西家の瀬戸熊がドラのバックの仕掛けを入れ、先制リーチをかけていた小林から満貫を出アガリ。

東4局には、小林がパッと見何の役なのか分からない345の三色・赤3を瀬戸熊からアガる。

対して、たろうはアガリ回数こそ3回だったものの、その内訳は1,000点が2回と2,600点が1回と低打点が多かった。

その3回のアガリの中でも、特に大きかったのが南3局2本場で決めた1,000点。
結果として、このアガリがトップを決定付けることになったと言える。

たろうはトップ目で南3局2本場を迎えたが、その点数は29,900点と3万点にも至っておらず、いつ逆転されてもおかしくない接戦。
このままオーラスに突入すれば、少なくとも連対する可能性は高く、この局の立ち回りは非常に重要だ。
配牌は打点こそ見えないものの、マンズで1面子できておりがトイツ。
3巡目に親番の瀬戸熊が切った1枚目のから仕掛けていく。

次巡、を引いてイーシャンテンに

ペンと
・
単騎のイーシャンテンだが、
・
が重なって雀頭になれば、
・
周りのくっつきテンパイにとることもできる。
その直後、2着目の茅森がドラ表示牌のを手出しする。
字牌から切り出した普通の河で、3や7の牌が余り出したら手がまとまってきているサインだとよく言われるが、ドラ表示牌となればターツの振り替えがいらない手牌となるので、その基準は更に上がるだろう。
実際に、茅森の手はタンヤオ・赤1のイーシャンテンになっていた。

次巡、たろうはをツモ切り。
ドラが使えなくなるが、既に3枚見えているので・
と比較して重なって雀頭になる可能性が低い。

その次巡、親番の瀬戸熊が手からドラのを切る。

瀬戸熊は赤2のイーシャンテンでターツ候補も揃っている。
が3枚見えたので、使いづらいドラをリリースする。
手からすれば自然なタイミングだが、親がドラを切ったとなれば他家にプレッシャーがかかるため、牽制の意味合いも兼ねているだろう。
その直後

たろうは自身がポンしている4枚目の白を引く。
この試合が行われている時、赤坂ドリブンズの楽屋では公式Youtubeチャンネルを使ったライブ配信が行われていた。

出典:赤坂ドリブンズ Mリーグ2024-25 ファイナル チーム第01・02戦 クラブハウスLIVE中継
楽屋にいる全員が、難しそうな顔をしている。
このを加カンするかどうか、園田と浅見は明言はせず、太は断言はしていないが「しない」寄りとのことだった。
カンすればリンシャンからもう1回ツモることができるが、ドラが増えるため全体の打点が上がってしまう。
この加カンはしない人が大半だとは思うが、「しない」というより「できない」人が多いのではないだろうか。
トップ目で手の形が不十分なたろうの立場からすれば、ここでカンするのは余りにもリスクが高い。
先述の通り、今にもリーチが飛んできそうな2人がいる中でドラを増やせば、この局で相手の決定打を生んでしまう可能性もある。