この日のインタビューで聞かれていた、南1局では、

萩原のリーチと竹内の仕掛けが入った終盤に、

七対子ドラドラのテンパイを果たし、
リーチに中筋のを──

打たずにテンパイを崩した!
よく場を見ると、

ピンズの真ん中は、萩原も竹内も捨てていない。
シャンポンやカンチャンなどの愚形で、や
が待ちになっている可能性があるとの判断だ。竹内は
をトイツ落としした直後なので、テンパイしている可能性は低めだが、2軒のアクションがあることから慎重に対応した格好である。
しかも、中筋のを切ったとて、待ちはその場に高いピンズの無筋
単騎だ。勝算はあまりなさそうである。
このように、しっかりと「相手がどのあたりを持っているか」のブロック読みにも長けているため、このへんで待てばアガれそうだという部分や、どこが特に危険なエリアかという判断にも優れている。
だから、優が参加している局面では、「アガれそうな待ちを携えて、押し切れる」シーンが多いのであろう。
また、これは筆者の完全な憶測であるが、鈴木優は、「1秒で見抜くヤバい麻雀心理術」(竹書房)という本も出しているように、対人的な読みがずば抜けて得意な選手だ。
ここでも、リーチ者の挙動や目線から、ある程度「どの色の待ちが濃いか」を考えて、ピンズ自体の危険度が高いとみた可能性もあるように思う。
そう感じるくらい、テンパイを取らない決断をアッサリと下していたのが印象的だった。
優がどう考えたのかは、本人しか知り得ないだろう。ただ、対人的な癖を見抜く「優の目」がある限りは、Mリーグで打てば打つほど情報が溜まっていき、優にとって有利な舞台が段々と出来あがっていくのではないだろうか。
実際のところ、

萩原は–
待ち。

竹内はのフリテンブロックを持った、ノーテンの手。
結果的には、は通っていたが、両者ともピンズが埋まっていない手格好ではあった。
さて、Piratesはファイナルに入ってからトップがなく、

上位との差はやや開いてしまった。
優勝が決まるまで、あと10戦。
次に優が登板するときには、攻めの麻雀で、

皆が渇望しているトップを、優が持って帰ってくれることを、Piratesクルーは期待している。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite