圧倒せよ 鈴木優が切り開いた連覇への道筋【Mリーグ2024-25ファイナル観戦記 5/15 第1試合】担当記者 #東川亮

【南】

これで満貫テンパイ、構想通りの仕上がりとなった。

さらに、【赤5ソウ】を引いて選択。

【8ソウ】を切れば【4ソウ】【5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】待ちの4メンチャンになるが・・・

優は【南】切りの【6ソウ】【9ソウ】待ちとした。

2巡前に生牌【南】を切ってきている瀬戸熊に対応したとのことで、【赤5ソウ】によって【南】を切っても打点が下がらなくなったことは大きい。

そこに、持ち点のない太がタンヤオピンフドラドラでリーチをぶつける。

どちらがアガっても高いが・・・

既にオリていた元太が【3ピン】をポンすると、

優がツモるはずだった【9ソウ】が太の元へ。

優が太から12000は13200の直撃。この試合で優に吹いた突風は、そのまま太への逆風となっている。

次局も優が太から5800は7300を出アガリ。両チームの命運は大きく分かれた。

親番が落ちてからの優は、ただ勝つだけでなく、勝ち方も考える。南3局、5巡目の役なし赤1リャンメン待ちをダマテン。三色手変わりもありつつ、即リーチを選ぶ打ち手も多いかもしれないが、ここで優が重んじたのは瀬戸熊と太の点差。

優としては、優勝を考えればドリブンズにはこのままラスでいてもらいたい状況であり、自身の高打点ツモで瀬戸熊の持ち点を削ってしまうと、太に浮上のチャンスを与えてしまうことになる。たとえば、1000-2000ツモなら、オーラスの太の逆転3着条件は満貫出アガリに緩和。それを嫌って、打点を作ろうとしなかったのだ。このままアガればそれでよし、三色になったとしてもリーチをかけず、瀬戸熊からはアガらない腹でいたかもしれない。

500-1000、最少打点でのツモアガリも計算通り。優にとっては理想的な展開だ。

そして、同様の思考をしていたのが元太。

南4局、自身の親番で仕掛けを入れてタンヤオドラ1のテンパイを組む。

瀬戸熊もテンパイ。逆転が難しい以上、瀬戸熊としてはこの局をアガって終わらせるのが最善となる。

その瀬戸熊から【4ソウ】が切られるが・・・

元太は平然と見逃し、自身のツモ山に手を伸ばした。

ここで瀬戸熊から2900をアガると、太と瀬戸熊の点差が詰まってもう1局となり、太に逆転のチャンスを与えてしまう。自身が親番でさらに加点したいのはやまやまだが、それ以上に相手にチャンスを与えない、シビアな選択。

最後は瀬戸熊がツモって、試合終了。

大逆風にさらされた太、

そして突風を背に会心の舵さばきで大トップを持ち帰った優。

まさに明暗、そしてファイナルの勢力図はここに来て大きく変わった。

「今日は2回分のトップを取りたかった」

プラス101.9ポイントは、まさに有言実行の圧勝劇。

攻守において他者を圧倒する打ち筋は、まさに戦闘民族のそれだ。

ファイナルで混迷の霧に包まれた海賊は、再びシャーレを視界に収め、力強く加速する。

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