長く短い祭、その開幕を告げる仲林圭の尺玉と三浦智博が私に見せた幻影。【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 9/15 第2試合】担当記者 渡邉浩史郎

たろうの【1マン】が手出しで自身の目から【3マン】3枚見え、【2マン】が固められているケースも考えると、【2マン】【5マン】【2ピン】【5ピン】の評価はいかほどに見えていたのか。
これはぜひとも話を聞いてみたいところだ。

その裏で三者が続々と追いついていく。まずは仲林がこの聴牌。役アリの現物待ちと、先に見える”あの”変化もあって当然のダマ。

東城も役なしながら聴牌。三浦のドラポンを躱したいが、ほかの人が躱してくれるなら自分がわざわざ愚形で行かなくてもいいため、降りる余地を残してのダマ。

そしてたろうは高め三色で5800のチーテンを入れる。
局面が動く中……

三浦にはもどかしいツモ。たらればならテンパっていた、そんな牌に遊ばれながらも広いイーシャンテン。

そして仲林に待望の”あの”変化!! ツモリ四暗刻の聴牌だ!
ツモ和了り率だけで言えばたろうと東城が降りる可能性があるリーチの方に分があるが、ここは注目を浴びている三浦の現物【7ピン】を確実に取らえてマンガンの加点をするためのダマ。

みんながみんな三浦のドラポンに危険牌を切りまくる。異様な空気に包まれる中……

ようやく三浦が聴牌! 赤を引いてのハネマン!

当然見た目枚数だけなら【2ピン】【5ピン】の一択だ。三浦も事前に決めていたのか。すっと切っていった。

次巡引いたのは悪魔の【3ピン】。シャンポンなら和了っていた牌だ。
【2ピン】【5ピン】をぼかすために手出しをする。

日吉「これ行ったね、行くやつだね!」

「行った~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」

パイレーツの控室が、PV会場が、そして全国のMリーグ視聴者が狂喜乱舞する。
仲林が大きな大きな花火を打ち上げる中、恐らく世界で私一人だけ、とある景色が走馬灯のように脳裏を駆け巡った。

それは昨年1月の記憶、自団体のタイトル戦であるWRCリーグベスト16でのことだ。
その二回戦、供託6本4本場の状況で、私は三浦にシャンポンで打ち込んだ。

これも敗退の一つの要因となり、私はこのベスト16で散ることとなったのだが、後に放送を見返して驚いた。

三浦はこのチーテンで、なんと両面ではなくシャンポンを選んでいた。
【5マン】【8マン】はドラ表示牌含めて3枚切れ。供託が大量に落ちていてみんな自分以外和了らせたくない状況で、チー出し【6マン】で最大限ケアされる【5マン】【8マン】よりも場況が良くてケア対象外の【8ピン】を狙っていた。まさに理外でありながら完璧な一打。相手が私のような格下でも毛ほども舐めてはいなかった。

その時と全く状況は違う。そんなことは分かっている、分かっていながらも。

私はあの時「今は勝てない」と感じさせられた、あの日の三浦の幻影を思い出さずにはいられないのだ。

仲林はこの和了り一回で、この半荘のトップを獲得。和了った局はもちろん、和了れなかった局でも強いと思わせるその魅力は健在。
今年もUKコンビの活躍を期待させてくれる最高のスタートとなった。

三浦はラスでのスタートながら、オーラスには3着浮上の可能性のあるリーチで東城の首元まで食らいついていた。

今日の記憶もあの追憶も、気が付けばあっという間にこの表が数字で埋まり、わずかな熱量のみを残して蓄積されていく1ページになるだろう。

あゝ、今年もあの短い祭りが始まったのだ。

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